2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of river embankment collapse by overflow of river and water seepage
Project/Area Number |
16K06519
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水工水理学 / 河川工学 / 移動床水理学 / 河川堤防の決壊 / 浸食 / 粘着性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水路内に作成された模擬堤防を対象に実験を行い,越流により堤防決壊が生じるメカニズムを解明することを目指しました.ここでは,堤防を構成する材料の組成の違いに注目してとりまとめを行い,材料の違いにより決壊のメカニズムやプロセスがどのように異なってくることかを明らかにしました.河川堤防は,一般に均一な材料で構成されているわけではなく,礫・砂に粘土が含有された材料を用いて十分に締め固めてつくられています.模擬堤防も同様の細心の注意を払って作成されました.堤体材料全体に占める粘土あるいは礫の混合比率が異なりますと,堤防決壊にまで到るか否かが明らかに変わってきますし,決壊に要する時間も異なってきます.また,プロセス自体にも違いが出てくることになります.本研究では,さまざまな条件化での実験を積み重ねた上で,このような点を明らかにすることができました. 以下に重要な知見を簡潔にまとめます.(1) 砂礫の間隙を埋めるほどの粘土が含有されると,粘土の耐浸食性ゆえに浸食が抑制され,決壊にまで到らない粘り強い堤防となります.ただし,含有比率が増すと堤体の安定性が低下し変形を起こしやすくなります.(2) 粘土と砂以外にある比率で礫が含有されるようになると,礫粒子間のかみ合わせの効果が顕著に見られるようになり,堤防決壊が生じる可能性は抑制されます.ただし,礫の含有比率が大きすぎると材料全体の透水性が増すため,浸透による決壊を招くことになります.(3) 礫・砂・粘土の含有比率には最適値があると推察される.現時点で確認されている範囲で言えば,「3 : 4 : 3」という比率がこれに当たると判断されます. 本研究の成果は,2016~2018年の三年間にわたって年度毎に一編の土木学会論文集掲載論文 (査読付き論文) としてまとめ発表してきました.最終年度につきましても論文を投稿する予定です.
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