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2016 Fiscal Year Research-status Report

近代発電用ダムの成立条件としての「地域・都市」の利益調整に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16K06529
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

堀川 洋子  筑波大学, 生命環境系, 研究員 (00465270)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords近現代 / 発電用ダム / 地域・都市 / 利益調整 / 水源地域 / 水利権 / 観光放流 / 持続的開発
Outline of Annual Research Achievements

発電にかかわる投資の地域社会への影響を考える枠組みとして、「発電会社の支出」について5項目(「潜在的費用」「施設建設」「補償」「利潤の地域還元」「関連地域開発」)を、「地域への影響」について3項目(「ネガティブ」「現状維持」「ポジティブ」)を配置した表を得ることができた。そして、表の意義として、以下の4つを明らかにした。
1.これによって、従来、個別に議論されることが多かった、ダム建設の「地域への影響」とそれらの背景条件における「ネガティブ」「現状維持」「ポジティブ」な側面について、包括的に扱うことができるようになった。
2.包括的な表があることで、複数の事例を同じ評価軸で比較できる。ダム建設に伴って生じる補償問題や地域社会との関わりの本質的な課題や構造を、近現代の発電用ダム建設、また流れ込み発電所にも適用することによって、対象の総体的な分析や解明に役立つ。それによって、ダム建設と地域との関係の事後評価ができる。
3.この表に、時代的条件(近代と現代の差)と地理的条件(事例、場所によるちがい)を組み合わせることにより、様々な事例について、時代的制約や事例的制約があったのか、さらには、どのような萌芽的動きがあったのかを見ることができると考えられる。
4.近現代の発電用ダム建設が、地域の発展にどのような機構で貢献してきたか、ダムの計画・建設技術を含めて検討することにより、現代への知見を見出すことができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度は、研究課題の初年度であるので、先ず、研究全体の枠組みを検討した。そして、発電にかかわる投資の地域社会への影響を考える枠組みとして、「発電会社の支出」について5項目(「潜在的費用」「施設建設」「補償」「利潤の地域還元」「関連地域開発」)を、「地域への影響」について3項目(「ネガティブ」「現状維持」「ポジティブ」)を配置した表を得ることができた。この成果は論文にまとめて、『土木史研究 講演集』に、堀川・佐藤・石井の連名で投稿することができた。
本年度は、研究の枠組みの検討や事例分析を行うため、事例分析対象河川の現地調査を、黒部川については研究代表者の堀川が、鬼怒川については、堀川および研究協力者の佐藤・石井の3人で行った。佐藤・石井は、当該研究分野の第一人者であり、二人からの研究助言や協力を得たことは、研究を発展・飛躍させるうえで非常に大きな原動力となった。3人によるディスカッションや現地調査を行うことができたことは、考察を着実に進めることにつながった。
また、事例にかかわる史資料や事例分析にかかわる情報について、研究代表者のこれまでの数十年にわたる研究活動の蓄積を活用できたことも研究を順調に進める上で非常に大きな原資となった。
本年度に考案した枠組みの表や事例分析結果は、次年度以降の詳細事例分析および研究の総括に生かしていく予定である。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度の研究課題は、以下の2地域の事例分析を考えている。
第一は、鬼怒川の黒部ダム・逆川ダムおよび中岩ダムの建設および運用をめぐる電力会社とダム・発電所の建設地域や下流の水利組合との利益調整についての検討である。上流に新たにダムが建設されて流量変動問題が発生する場合、その解決策として、下流のダムで逆調整操作を行うことがある。焦点をあてる中岩ダムは、農業用水のための逆調整操作を行うダムであり、灌漑期間だけに逆調整池を限定することを農業用水側が承認している。第二は、富山県の黒部川における小屋平ダム・仙人谷ダム建設の地域への影響分析を行う。黒部川の自然環境・風致を守るためにとられた解決策とそれが導き出された機構について、検討する。
以上の事例分析では、古地図を使った図面解析、文献調査、現地調査などを実施する。
研究の最終目標は、近代発電用ダムの成立条件としての「地域・都市」の利益調整の実態とそれが行われた機構について明らかにすることである。

Causes of Carryover

平成28年度の研究成果をまとめた論文作成等に想定以上に時間がかかり、予定していた投稿料や研究発表のための旅費の一部に未使用金が発生したため、次年度使用額とした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当初計画通り、平成28年度の研究成果をまとめた複数の論文の投稿料や発表会場までの旅費、発表会参加料等の支払いに使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 発電用ダム建設の「地域への影響」と「地域・都市」の利益調整2017

    • Author(s)
      堀川洋子・佐藤政良・石井敦
    • Journal Title

      土木史研究 講演集

      Volume: 37 Pages: 235-238

    • Open Access

URL: 

Published: 2018-01-16  

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