2016 Fiscal Year Research-status Report
柔軟な公共交通システムと地域空間構造の統合的な評価・計画手法
Project/Area Number |
16K06531
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高見 淳史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40305420)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 公共交通システム / 統合モビリティサービス / 都市構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「統合モビリティサービス」の概念整理: 本研究課題で扱う“柔軟な公共交通システム”の構成要素について検討した。特に,欧州を中心に注目を集めつつあり,実際に平成28年からヘルシンキ(フィンランド)でサービスが開始された「Mobility as a Service」(MaaS)の動向をレビューした。このMaaSをも取り込む形で,個別の交通サービスを利用者へ統合的に提供する「統合モビリティサービス」(IMS)を定義し,その概念を整理した。 2.研究対象地域候補の選定: 想定するIMSのサービス内容との適合性,既往データの入手可能性,調査の実施可能性といった観点を踏まえ,神奈川県川崎市と岐阜県多治見市からそれぞれ1地域を研究対象地域候補として選定した。 3.IMSに対する需要特性の把握と分析: 2.の両候補を研究対象地域とすることの妥当性を検証するため,大都市圏(一都三県)郊外部を対象に,IMSの利用意向を把握するための予備的なSP調査をWebアンケート形式により実施した。このデータに基づいて基礎的な需要分析を行い,想定するサービス内容に対し一定水準の需要が見込まれることを確認するとともに,IMSへの加入意向に影響する要因をモデル分析によって把握した。 4.需要側交通行動調査の準備: 3.の実施と前後して,モデルフレームの検討を行い,需要側の分析のための標準的な交通行動アンケート調査票(紙ベース)を作成した。 5.供給側シミュレーションモデルの構築: 公共交通システムのパフォーマンスの評価に用いる供給サイドのマルチエージェントシミュレーションモデルの構築を開始した。モデルはGAMAプラットフォーム上で構築しており,道路データや需要データ等を入力することで,任意の地域におけるオンデマンドバスの運行をシミュレートできる段階にある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者の藤垣も関係している別主体による研究プロジェクトにおいて,本研究課題の対象と類似するモビリティサービスの社会実験が実施される可能性があった。本研究課題の需要サイドの調査は基本的にSP調査によって行う想定であるが,調査をその社会実験の機会に合わせて実施させていただく可能性を探っていたため,見極めに時間を要した。その結果,研究対象地域の選定と需要サイド調査の実施に遅延が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
遅延している需要サイド調査に関しては,上記「研究実績の概要」の3.で調査・分析した需要特性についてさらに精査を行い,平成29年度早期に研究対象地域を確定させるとともに,同4.で作成した調査票に基づく本調査を実施することを計画している。 供給サイドのマルチエージェントシミュレーションモデルに関しては,他の交通手段も合わせたモデル化,ならびに利用者の交通手段選択などの交通行動モデルと連携させた実装を行うとともに,選定した研究対象地域で適切に稼働することを確認したい。
|
Causes of Carryover |
上記「現在までの進捗状況」で述べた理由により,需要サイドの調査を平成28年度中に実施するに至らなかったため,その調査関連の費用が未使用額として残った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に需要サイド調査を実施する計画としており,未使用額はこれに充当する予定である。
|