2017 Fiscal Year Research-status Report
時間変動係数と観測交通量に基づく時間帯別OD交通量の逆推定モデルの実用化研究
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16K06534
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 素弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90229013)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | OD交通量推定 / 時間帯別 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、補正係数逆推計モデルの開発と適用について検討した。プログラムの作成を行い、実際に適用することで、基本モデル(時間変動係数を直接推定する方法)に対して補正係数逆推定モデルは、多くのODペア数の現状データ情報を活用できる反面、精度は基本モデルほどよくないことが分かった。また、あまりODペア数を増加させると、時間変動パターンが元のデータの歪みを引き継いで過剰に変動してしまうので、ある程度集約化したゾーンで適用することも考慮したモデルの開発も行った結果、より妥当な時間変動パターンの適用が可能になった。基本モデルが時間帯別OD交通量の情報を全く使っていないのに対して、補正係数逆推定モデルは、できるだけ活用しようとしたモデルであるので、観測リンク交通量の情報だけを使った基本モデルよりはどうしても精度は落ちるが、できる限り現状の時間帯データに即した推定を行いたい場合は有効であることが分かった。 次に、本研究室で長年開発してきている時間帯別均衡配分手法(OD修正法)に基づく時間変動係数逆推定モデルの理論の再構築や適用する時間帯幅との関係理論の整理を行った。本研究のモデルで併用する時間帯別均衡配分は、OD間所要時間のトリップ長について設定した時間帯幅を超えないという仮定がある。本研究ではOD修正法の理論の上でこの時間帯幅の仮定の緩和方法を提案しつつ、時間変動係数逆推定モデルで推定される時間帯別OD交通量は、経路の中間時点をベース(中間ベース)とした時刻で集計されたODに対応することを明らかにした。さらに、その中間ベースから出発地からの発時刻ベースで集計される時間帯別OD交通量の逆算方法を整理できた。さらに、この発時刻ベースに時間変動係数を逆算するときの課題を整理できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補正係数逆推定モデルの実ネットワークへの適用と基本モデルとの関係について明らかにできたこと、時間帯幅の初期条件の緩和方法や発時刻ベースの時間変動係数への逆算方法、および、基本モデルにおける発時刻ベースに逆算する際の課題を整理したことなどで、当初の予定通りの達成度といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、まだ十分分析ができていなかったネットワークや観測リンク地点等と時間変動係数推定精度との関係について詳しく分析し、本モデルの適用性の向上を図る。また、時間帯幅と精度との関係についてもどの程度の時間帯幅が可能かなど検討する。 次に、当初の予定には入れていなかった研究として、発時刻ベースに時間変動係数を逆算する際の課題を解消することを検討する。また、発時刻ベースの時間帯別OD交通量の推定にとって、時間帯別均衡配分における残留交通量を逆推定モデルに組み込むことが重要であることがわかってきたので、これの精度改善を図る上でも、新たなモデリングを検討することにする。 本年度は最終年度として、これまで開発したモデルのジャーナルへの投稿や学会への発表を進める。
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Causes of Carryover |
ソフトの購入代等がやや廉価であったため。
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