2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K06563
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
胡桃沢 清文 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40374574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セメント硬化体 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 空隙構造 / NMR / DSC / 圧縮強度 / 拡散係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに広くセメント系材料の空隙構造を測定する手法として水銀圧入法が用いられてきているが、水銀圧入法ではインクボトル効果による影響、また、前処理として試料の乾燥を行う必要があり、正しい空隙構造を測定できていないとの指摘がなされてきた。さらに、近年では水銀圧入法の測定後に排出される廃水銀の処理も環境影響の側面から困難になってきており、水銀圧入法に代わるセメント系材料の空隙構造を測定可能な手法の開発が求められている。そこで本研究では水銀圧入法に代わる空隙構造を測定する手法の開発を目的としている。フライアッシュや高炉スラグ微粉末を混和したセメント硬化体の空隙構造の測定を行った。その結果、低温示差走査型熱量計(低温DSC)によって得られた空隙構造は、凍結過程と融解過程では異なる結果を示した。これは凍結過程ではインクボトル効果と過冷却の影響によるものであることが示唆された。融解過程においては小径の空隙内の氷から融解することからより正確な空隙構造を測定することが可能であることが示唆された。さらに圧縮強度、超音波速度、電気伝導率および塩化物イオンの拡散係数を測定した結果、それらは既往の研究の結果と同様に普通ポルトランドセメントのみを使用した硬化体と混和材を混和した硬化体では異なる結果が得られた。得られた各種物性と低温DSCによって得られた空隙量との比較を行った結果、圧縮強度および超音波速度と総空隙量が非常に高い相関を示した。この結果は水銀圧入と同程度の結果であった。一方、電気伝導率と拡散係数に関しては特定の空隙径以上の空隙量とよい相関がみられた。これも水銀圧入法と同程度の相関であった。以上の結果から低温DSC測定から得られる空隙量は水銀圧入法の結果と同程度で物性を推定することが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空隙構造の測定に関しては低温DSC測定によって可能であることを明らかにした。そこから得られた空隙量と物性との関係はある程度相関があることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
低温DSC測定によって得られた結果とその他の手法を比較することによって低温DSC測定の妥当性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、実験を行うに際して学生アルバイトを雇わず行うことができたため一部残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は多くのNMRに関する実験を行うため学生アルバイトを予定より多く雇う必要があり、それによって残額を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)