2017 Fiscal Year Research-status Report
空間構造の雪荷重を考慮した総合耐震安全性評価手法の提案
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16K06571
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中澤 祥二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70314094)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 空間構造 / リスク解析 / 雪荷重 / 耐震性能 / 円筒ラチスシェル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,① 空間構造を構成する主構造材の限界変形に注目した新たな安全性能評価法を示すとともに,② 空間構造を構成する非構造材(天井材を含む)の安全性能評価法を示し,③適切な雪荷重や地震荷重が作用した場合を想定し,④ 空間構造の雪や地震に対する機能維持性能を含む総合的な安全性能評価方法を提案することを目的とする。平成29年度は,以下の項目について実施した。(1) 雪荷重を考慮した場合の耐震性能評価の一例として,小規模学校体育館を想定した単層円筒ラチスシェル屋根に対して雪荷重や積載荷重を考慮した断面算定を行い,解析対象を設定した。(2) 下部構造を有する単層円筒ラチスシェルに対して部材の降伏や座屈を考慮した時刻歴弾塑性地震応答解析を実施し,当該構造物の地震応答性状を分析するとともに、断面算定に用いる設計用の雪荷重の大きさが当該構造物の耐震性能に与える影響を明らかにすることができた。一般に、設計用の雪荷重が大きくなる場合、対象構造の固定荷重に対する終局耐力が3から4倍程度になり、下部構造を有する単層円筒ラチスシェルは、安全限界相当の地震入力に対して安全であることを明らかにした。(3) 地震応答性状の分析より,当該構造物の終局状態は下部構造の最大変形によって概ね定められることを明らかにし,等価線形化手法を用いた下部構造の最大変形の簡易推定法を提案した。この手法を用いた当該構造物の耐震性能評価方法を新たに提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,(1) 雪荷重を考慮した場合の耐震性能評価の一例として,小規模学校体育館を想定した単層円筒ラチスシェル屋根の解析モデルを設定することができた。(2) 下部構造を有する単層円筒ラチスシェルに対して部材の降伏や座屈を考慮した時刻歴弾塑性地震応答解析を実施し,当該構造物の地震応答性状を分析するとともに、断面算定に用いる設計用の雪荷重の大きさが当該構造物の耐震性能に与える影響を明らかにすることができた。(3) 地震応答性状の分析より,当該構造物の終局状態は下部構造の最大変形によって概ね定められることを明らかにし,下部構造の最大変形の簡易推定法を提案し、当該構造物の簡易耐震性能評価手法を提案した。この手法は、限界変形に応じた耐震性能を明示することができる指標であり、主構造体の耐震性能指標だけでなく、非構造体の耐震性能指標としても利用可能と考えることができる。以上より,概ね予定通りの進捗状況であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,(1) 応答解析結果に基づき,地震動強さに応じた非構造材(外装材・天井材など)の最大応答値(損傷評価指標の値)の中央値とばらつきを評価する。構成要素の損傷状態,損傷のクライテリアについては,既往の研究成果や地震被害を参照しながら定めるものとし,構造信頼性の考え方に基づき非構造材の地震損傷度曲線(地震動強さと破壊確率の関係)の算定を試みる。(2) 雪荷重を空間構造の総合安全性能評価として、空間構造では各構成要素が複雑に関係しているため,各構成要素の損傷が機能維持に与える影響を分析する。本研究では,「地震後も避難施設や生産施設として機能すること」などの具体的な目標を設定し,リスク解析に基づいて構造物の地震後の機能維持性能を評価する。この手法を適用するために,① 構成要素(主構造材や非構造材)の地震損傷度曲線,② 機能損失確率を評価するためのフォールトツリーなどを適切に定める必要がある。既往の地震被害例(屋根の吊物や仕上材の落下した場合,避難所として利用不可など)を参照し,空間構造の機能損失確率に関わるフォールトツリーを策定する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に合わせて、予定していたグリッド計算システム構築用計算機の単価や購入台数を調整したために物品購入費に差額が生じているが、本研究の対象で対象とする構造物の数値解析計算では十分なパフォーマンスが得られている。また、当初予定した予備解析補助者、計算システムの構築に関しては、研究代表者が行ったため、人件費・謝金に差額が生じた。平成30年度は、研究成果の発表を国内外で行う予定であり、研究成果に関する論文の投稿料を予定している。
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Research Products
(4 results)