2016 Fiscal Year Research-status Report
改質フライアッシュのポゾラン反応がコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性に及ぼす影響
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16K06577
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉昭 大分大学, 工学部, 教授 (30038111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 俊浩 大分大学, 工学部, 准教授 (00315318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 改質フライアッシュ / ポゾラン反応 / 収縮ひび割れ / モルタル供試体 / 収縮ひび割れ抵抗性 / 評価方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加熱改質フライアッシュ(CfFA)を混和したコンクリートの乾燥収縮ひび割れ抵抗性を評価する手法としてフライアッシュ(FA)の特徴であるポゾラン反応に着目し、CfFAコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性に及ぼすポゾラン反応の影響を明らかにするために、CfFAを混和したモルタル供試体を用いて鉄筋埋設型の収縮ひび割れ試験を繰り返し行い、モルタルの試験結果をコンクリートに反映できる可能性と整合性を探るとともにひび割れ抵抗性の評価方法を検討することにしている。H28年度の研究で得られた成果は以下の通りである。 (1)CfFAのポゾラン反応に関してCfFAを混和したセメントペーストを用いて示差熱分析と細孔径分布の測定を行い、材齢28日までの結果ではあるが、養生温度が高いほど、また、CfFAの比表面積が大きいほど(微粒子が多い)、ポゾラン反応が進展する(組織が緻密になる)という結果を得た。長期材齢については引き続きデータを収集している。 (2)自由収縮ひずみ量に関して、CfFAの置換率が高くなるほど小さくなる傾向にあることが分かったが、CfFA無混和の基準モルタルと比較してそれほど大きな差は認められない。 (3)基準モルタルの収縮ひび割れ発生時期に関して、CfFAモルタル(置換率10および20%)と比較して早期にひび割れが発生するケースが多いことが分かった。 (4)ひび割れ発生時の拘束応力は、基準モルタルとCfFA10は同程度であり、CfFA20は大きな値を示し、最大拘束応力は、相対湿度40%や50%に比べ相対湿度60%が大きな値を示す傾向が見られた。また、相対湿度が低いほど乾燥開始直後における応力強度比増加速度が大きく、収縮ひび割れの発生には乾燥初期の急激な応力の増加が影響していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画は、①ポゾラン反応(既往の文献調査とCfFAを混和したペーストのポゾラン反応)と②モルタルの収縮ひび割れ抵抗性試験(収縮ひび割れ試験方法の提案とCfFAを混和したモルタルの収縮ひび割れ試験)の2項目を明らかにすることであった。①に関して、CfFAの比表面積の違いや置換率、養生温度の違いがポゾラン反応に及ぼす影響を示差熱分析試験(DTA)と細孔径分布を用いて明らかにしたが、ポゾラン反応は長期に亘って進展することから、引き続き実験データを収集することにしている。また、提案されている迅速で簡便なポゾラン活性の評価方法については文献調査ができたが、その適用範囲についてはさらに検討する必要がある。②に関して、コンクリート調合から粗骨材部分を取り除いたモルタルを用いて鉄筋埋設型の収縮ひび割れ試験方法を検討し、鉄筋埋設による断面欠損や定着長さが収縮ひび割れに及ぼす影響を明らかにすることが出来た。この小型モルタル供試体を用いた収縮ひび割れ試験方法を適用して、CfFAを混和したモルタルの収縮ひび割れ抵抗性に及ぼすポゾラン反応の影響について、水セメント比やCfFAの比表面積並びに置換率、実験開始材齢を実験要因とした収縮ひび割れ試験を繰り返し行い、現在、実験データを分析しているところである。また、ひび割れが生じた供試体についてはポゾラン反応による自己修復機能についても実験を開始することが出来た。 以上のことから、ほぼ当初の計画通りに研究は進んでいるものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)長期間に亘って進展するCfFAのポゾラン反応に関しては実験を継続し、CfFAを混和したセメントペーストのポゾラン反応の経時変化を置換率や養生温度を変えた場合について強度試験や示差熱分析試験から求め、既往の反応率の評価式との関係を明らかにする。また、モルタル供試体の各種物性にポゾラン反応がどのように影響しているのかを定量的に明らかにすることを試みる。 (2)CfFA混入コンクリートの材齢28日の圧縮強度をCfFA無混入の基準コンクリートのそれとほぼ同じになるように強度寄与率を導入して調合設計を行い、コンクリート中のモルタル分について乾燥収縮実験やクリープ実験を行った。収縮ひび割れ試験については、乾燥収縮ひずみにはあまり明確な差が認められないことから、ひび割れの発生にも明確な差が認められないという結果になっており、 CfFA混入がひび割れ発生に関して必ずしも有利になるという結果は得られなかった。これは、実験条件にも問題があって、収縮ひび割れを発生させるためにかなり拘束度を高くしたことから(自由収縮ひずみの60~70%を拘束)、CFFA混和の有無の影響が明確に表れなかったのではないかと考えられた。そこで、ひび割れが発生しないような低拘束度(自由収縮ひずみの30~50%を拘束)の実験を補足実験として実施することを計画している。この実験はかなり長期間を要することになるが、供試体内に生じる乾燥収縮応力の進展状況に及ぼす実験期間内に進行するポゾラン反応の影響を明確に出来る可能性がある。
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Research Products
(1 results)