2017 Fiscal Year Research-status Report
空間構造の地震応答制御のための複数TMDを用いた設計法の高度化
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16K06583
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉中 進 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70401271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 信太 立命館大学, 理工学部, 教授 (30432363)
山川 誠 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50378816)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動制御 / TMD / 空間構造 / 吊り天井 / 床スラブ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.地震応答制御のための簡易な初期変位付与型TMDの構築:初期変位付与型TMDを空間構造のような自由度が大きい構造物に適用する場合、TMDの空間配置が課題となる。そこで最初に3自由度系の簡易モデルを用いて、TMDの空間配置が制振効果に与える影響を検討した。その結果、以下のことが確かめられた。1)制御モードの節以外の箇所であれば空間配置に依存せずに対象モードを制御可能である。2)TMD初期変位によるばね力により非制御モードが励起されるため、T非制御モードの成分が小さい箇所に設置する必要がある。3)TMDの個数を増やして初期変位によるばね力の和が0となるようにすることで非制御モードの励起を抑えることができる。さらに、自由振動応答理論解を用いて、非制御モードの励起に着目した初期変位付与型TMDの空間配置評価式を提案した。 2.ロバストTMD最適設計法の開発:停止規則に順序統計量を利用したRandom Searchと局所探索法を組み合わせることにより、事前に割り当てられた精度を確率的に満たすことが保証されたTMD最適設計法を、単層ラチスドームに適用し、既往の研究よりも高い制振効果を示すことを確認した。さらに重層構造の応答低減システムとして床スラブ質量をTMD質量として利用するTMD床制振システムの設計法を提案し、有効性を確認した。 3.吊り天井の耐震安全性検討のためのTMD設計法と斜行ケーブルで構成された新しい吊り天井の開発:斜行ケーブル吊り天井単体ではなく、構造体の振動性状を考慮した地震応答性状を検討した。その結果、従来の吊り天井で課題となる構造体との共振による応答増幅が生じにくいことが分かった。さらに山形屋根体育館に取り付けた二次元モデルを用いた地震応答解析の結果、従来の吊り天井と比較して、応答変位が小さく、且つ天井構成部材への局部的な応力集中が生じにくいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体については、当初想定した計画以上の成果を出している。一方でこれまでの研究成果を踏まえて、今後の研究の方向性に関して若干見直すべき箇所が生じた点を考慮して、全体的に「おおむね順調に進展している。」という評価結果を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題「空間構造の地震応答制御のための複数TMDを用いた設計法の高度化」の研究の大枠については順調に研究が進展しており、特に変更が必要な箇所はない。 但し、「1.地震応答制御のための簡易な初期変位付与型TMDの構築」のうち「エネルギー回生システム等を用いた簡易な初期変位付与型TMDの構築」については、連携研究者の制振装置メーカーとスタディーした結果、現状ではコスト、周辺装置の精度などの問題で、早期の実用化には困難が伴うことが分かったため、初期変位付与型TMDの設計法に関する理論の構築に力点を置き、他の制振手法に対する優位性をアピールすることを優先して研究を進めている。
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Causes of Carryover |
(当該助成金が生じた状況) 日本建築学会大会の出張旅費を大学の予算で執行したため。 (使用計画) 振動試験のための小型模型の制作費に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)