2017 Fiscal Year Research-status Report
経年劣化した鉄筋コンクリート造建築物の耐久性予測に基づく寿命制御手法の構築
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16K06591
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
佐藤 幸恵 東京都市大学, 工学部, 准教授 (70408714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝田 吉弘 日本大学, 理工学部, 教授 (30272214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 既存鉄筋コンクリート造建築物 / 中性化 / モルタル仕上げ / 炭酸ガス / 水酸化カルシウム / 炭酸カルシウム / 長寿命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
築50年以上経過した鉄筋コンクリート造建築物の調査を行い,これまでの研究実績で解析を行ってきたモルタル仕上げを有する場合の中性化進行特性について検討を行った.対象調査建物はいずれも築50年以上の鉄筋コンクリート造校舎であるが,2017年度はそのうちの1棟の調査を行った.その結果,各階腰壁部および階段室から採取したコア供試体の圧縮強度は,上階ほど低くなる傾向がみられた.そのうち,階段室は,設計基準強度よりも大幅に強度が低く,施工時に何らかの問題があったと推察された. 初年度に課題としたモルタル品質の分布については,モルタルの含水率を行った結果,含水率が高いもののほうがコンクリート躯体の中性化の影響は小さく,屋内-屋外,雨掛かりの有無によってモルタルの状態が異なるとコンクリート躯体の保護性能も影響を受けることを実験的に明らかにした.従来はモルタル仕上げの厚さとの関係を考察するものが多かったが,含水率などに着目することにより新たな知見を示すことができた. また,示差走査熱-熱重量分析を行ってモルタル仕上げからコンクリートに至る各部位に存在する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウム量を定量して中性化の状態を分析した.その結果,モルタル中に水酸化カルシウムが残存しつつもコンクリート躯体の中性化が進行することが明らかとなり,水分状態と炭酸ガスの浸透拡散を考慮することによってモルタル仕上げを有する場合の中性化進行モデルをより精緻なものとすることができることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存建築物の調査から,一定の成果を得ることが出来た.また,それらの内容は国内外の学会等で発表予定であり,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
既存鉄筋コンクリート造建築物の調査より,施工状態により部位によって大きく強度が異なることが示され,またモルタルの含水状態がコンクリート躯体の中性化抑制効果に影響を及ぼしていることが明らかとなった.これをより詳細に検討するため,実際の水セメント比などを配合推定試験等を行って明らかにし,定量評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
2017年度は既存建築物の調査を行った.既存建築物は建物毎に劣化状況が異なるため,その状況に応じた物品調達等が必要となるが,過大な発注を行わないように調整しながら随時必要に応じて消耗品等を発注したので,当初予定額よりも少ない金額で実験が遂行できた.また,一部機器を無償で借用できたこともあり経費が節減できたことなどから次年度使用額が発生した. 次年度は,これらの予算を活用して研究成果をより向上できるように,調査によって明らかとなった現象を解明するための化学分析のための経費や,成果発表を積極的に行うための旅費,論文投稿費などに活用する予定である.
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Research Products
(11 results)