2017 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート打込み中の欠陥の新規定量評価手法の精度向上に関する研究
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16K06592
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬古 繁喜 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50507259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンクリート / 打込み欠陥 / 空洞位置 / 高周波静電容量 / 周波数 / インピーダンスアナライザー |
Outline of Annual Research Achievements |
1、接触端子の間隔を15mm~65mmの範囲で10mmおきとして製作した電極部とインピーダンスアナライザーから構成される高周波静電容量測定装置を用いて、固体の中で模擬的に設定した空洞の大きさ(幅と厚さ)と空洞の深さ位置を変えた場合に得られる高周波電流の周波数スペクトルと静電容量に関する実験を行った。測定対象として取り上げたのは、誘電率が異なるモルタル・アクリル・ガラスである。実験の結果、モルタル、アクリル、ガラスでは高周波静電容量が異なるが、高周波静電容量が最大となる印加周波数(ピーク周波数)のレベルや接触端子の間隔が異なる場合のピーク周波数の変化の傾向が異なることが明らかとなった。とくにモルタルは他の二つの材料と比べて特徴的な点がいくつかあり、今後の分析によって空洞の大きさや位置検出の手法に可能性が見出せた。また、同じ材質の中において、空洞の大きさと深さ位置が異なる場合の、接触端子の間隔と高周波静電容量の関係については、得られたデータからは明確とはなっていない。 2、接触端子の間隔が異なる電極部とLCRメーターから構成される高周波静電容量測定装置を準備し、実際の型枠材料で組み立てた模擬試験体に充填した未だ固まらないコンクリート中に大きさの異なる欠陥(発泡スチロール)を模擬した状態とし、印加電圧と周波数は固定した状態で測定される高周波静電容量に及ぼす欠陥の位置やコンクリートの使用材料・調合の影響を検討する実験の計画を行うことができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、接触端子の間隔を変えた電極部とインピーダンスアナライザーを接続した高周波静電容量の測定装置を用いて、誘電率が異なる材料(モルタル・アクリル・ガラス)を測定対象とし、空洞の大きさと深さ位置が異なる場合の、周波数スペクトルと高周波静電容量を測定した。周波数スペクトルの測定結果から、材料ごとに高周波静電容量が最大となるピーク周波数が存在し、比誘電率の小さい材料ではピーク周波数が高く、比誘電率が高いモルタルではピーク周波数が小さくなることが分かった。また、アクリルとガラスの場合には、接触端子の距離が大きいほどピーク周波数が高くなる傾向があるが、その関係は空洞の幅には影響を受けないことが分かった。一方で、モルタルの場合にはアクリルやガラスとは傾向が異なり、接触端子の距離が大きいほどピーク周波数が低下する傾向がみられた。接触端子の距離とピーク周波数の関係は、空隙の幅が30mmと90mmとでは傾向が異なり、また空洞の深さによってもピーク周波数のレベルが異なる結果となった。これまで得られたデータを整理することにより、モルタルの場合にピーク周波測によって空洞の大きさや深さを逆に推定する方法を検討することができる。 2、接触端子の間隔が異なる電極部とLCRメーターから構成される高周波静電容量測定装置を準備し、実際の型枠材料で組み立てた模擬試験体に充填した未だ固まらないコンクリート中に大きさの異なる欠陥(発泡スチロール)を模擬した状態での高周波静電容量を測定する実験の計画を立案した。使用材料の影響としては、普通セメント、高炉セメント、AE減水剤、高性能AE減水剤といった材料の種類、水セメント比、単位水量といった調合の違いを要因として、これらの影響を検討する実験の計画を立案し、実施段階まで到達することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
1、高周波静電容量の測定装置による測定値に影響を及ぼす要因を調査し、型枠内部(空洞の位置や大きさ、鉄筋など)および外部(型枠の湿潤状態、型枠の固定金物など)の要因の影響を定量的に評価することができる実験を計画し、影響が予想される場合の補正や除外などの方策を立案する。 2、高周波静電容量の測定装置に関して、測定の精度の向上のために解決策を検討する。並列の接触端子を有する電極部について、電極に用いる材料の材質や形状などの寸法精度、接触度合を高める構造等の改善によって、より測定精度の高い測定装置を製作することを、研究協力者とともに行っていく。 3、測定装置側の要因として電極部の接触端子の間隔とピーク周波数および高周波静電容量、試験体側の要因として空洞の幅および深さ位置を関連付けて、重回帰分析等によって空洞の幅および深さ位置を推定するための関係式の構築を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用額(繰越額46万円)については、予定していた測定装置のアップグレードについて、安価な代替機種で対応できることとなったため、その製作対応費用の分が余剰となった。 (使用計画)次年度使用額(繰越額46万円)については、測定精度を高めるための電極部の製作、ならびに実験を多く実施していくための実験補助やデータ整理に充当していく予定である。ほかには当初計画していた研究費の使用計画から大きな変更はない予定である。
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