2016 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート塊の低品質再生骨材への再資源化に関する研究
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16K06593
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
道正 泰弘 名城大学, 理工学部, 教授 (20734867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 資源循環 / 低品質再生骨材 / コンクリート / セメント / 安全性 / 混和材料 / セシウム / 溶出抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
[リサイクルコンクリートの設計手法と妥当性検討] (1)再生骨材:再生骨材専用工場にて製造された低品質再生骨材を購入した。(2)骨材特性試験:骨材の主要物性試験を行い,特性を把握した。具体的には,一般骨材ならびに再生粗骨材3種類(L:2種類,M:1種類)を用意し,骨材粒度,密度,吸水率,実積率,微粒分量,不純物量の諸試験を行った。(3)コンクリート性能試験:これらの骨材を用い,セメント種類,水セメント比,再生骨材置換率(置換率)を変化させた合計41種類のコンクリートを用意し,その主要な性能について試験を行い,特性を把握した。具体的には,フレッシュコンクリートの性状試験,圧縮強度試験,静弾性係数試験,長さ変化試験,促進中性化試験,凍結融解試験を実施した。(4)実験結果の分析:骨材特性試験とコンクリート性能試験結果から両者の関係を分析し,骨材品質がコンクリート性能に及ぼす影響を検討した。(5)以上の結果から,低品質再生粗骨材を用いたコンクリートの性能は,一般的な調合設計上の配慮に加え,置換率の調整ならびに混合使用する一般粗骨材の選定により,所要性能の確保が可能であることが判明した。 [有害物質(放射性物質)の溶出挙動の把握および溶出抑制対策] (1)普通ポルトランドセメントと溶出抑制のための混和材料としてフライアッシュ,高炉スラグ微粉末を用い,セシウム源として塩化セシウム(CsCl)を練混ぜ水に溶解させ,混和材の混入率を変化させた5種類(n=3)のペースト硬化体を作製し,養生期間を2水準(28日,91日)とした合計10種類の試験体について浸漬試験(浸漬期間1~3か月)を行い,CsClの溶出量を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により分析した。(2)その結果,混和材の混入により,溶出量を抑制できた。特に,フライアッシュⅡ種を15%以上置換した場合の溶出抑制効果は顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[リサイクルコンクリートの設計手法と妥当性検討] (1)一般的に低品質再生骨材は品質変動が大きく,その影響から調合を調整しながらコンクリートを打ち込んでいく必要がある。しかし,本年度の研究においては,再生粗骨材のみを用いたため,大きな品質変動は認められなかった。このため,コンクリートの打込みのやり直しなどがほとんどなく,おおむね順調に進展してきた。(2)今後は主に再生細骨材を対象とするが,一般的に再生細骨材は,再生粗骨材に比べ,品質低下や品質変動の程度が大きいとされている。打込みのやり直しを可能な限り避けるため,モルタル試験の併用による調合の調整や早めにコンクリートを打ち込むなどの対策を講じていく。 [有害物質(放射性物質)の溶出挙動の把握および溶出抑制対策] (1)本年度は,CsClの混入量を多めにすることとで溶出抑制効果を明確にした。このため,実験のやり直しがなく結果的にはおおむね順調に進展した。また,技能的に最も困難と思われたセメントペースト試験体からの試験片の切り出しもほぼ成功した(29試験片/30試験片)。(2)この試験は,長期の養生期間と浸漬期間が必要になる。また,試験条件の微妙な変化が結果に影響してしまう可能性があることから,一部の試験体のみのやり直しが難しいため,引き続き慎重に実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
[リサイクルコンクリートの最適品質管理手法の立案] (1)引き続き低品質再生骨材(再生細骨材,再生粗骨材)を一般骨材と混合・置換することにより,所要品質のコンクリートを製造するための検討を行う。再生粗骨材に加え再生細骨材を用いることから,品質変動が大きくなることが予測される。(2)このため,最終的な目標の一つである品質管理のフロー作成のための各工程における管理値の設定に必要な品質変動の影響を検討する。 [有害物質を含むコンクリート塊の再資源化への検討] (1)昨年度,予想以上に混和材混入の効果が明確に認められたことから,得られた結果をもとに溶出メカニズム解明のための検討を行う。(2)これにより,CsClが混入したコンクリート塊の再生骨材コンクリートへの利用可能性と課題について検討を行う。
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Causes of Carryover |
物品費の値引による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として計上する。
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Research Products
(2 results)