2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of new lighting technology to enhance luminance contrast for older people to read better
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16K06608
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
明石 行生 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (10456436)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 輝度コントラスト / 文字寸法 / 照度 / 読み易さ / 高齢者 / 視覚 / 弱視 / プロジェクションマッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクションマップ技術を応用した明視性向上技術の有効性を検証することを目的として、実証実験を行った。この技術の構成は、①新聞紙面などの視対象をカメラにより撮影して輝度画像を作成し、②個人のコントラスト感度の特性に応じて読み易さを向上するために、順応輝度と輝度コントラストを高める画像を作成し、③その画像をプロジェクターにより視対象に重畳するように投影するものである。 実験では,白い紙(反射率80%)を背景とした150字の黒い文字 (反射率28と52%)により構成される5行の日本語の解説文を印刷した基準視標を提示した.その基準視標に予め作成した種々の画像をプロジェクターで投影した。これにより、独立変数とした順応輝度と輝度コントラストを変化させた評価視標を提示した。被験者は、これらの視標を観察し、従属変数として「読み易さ」と「眩しさ」の程度を評価した。その結果、大半の条件下で読み易さモデルによる予測通りに文字の読み易さは向上した。特に、眩しさを抑え読み易さ評価を向上させるには、順応輝度を200 cd/m2より高くせず、輝度コントラストを向上させることが有効であることがわかった。同時に、現状のプロジェクターの解像度の向上と眩しさの低減が課題であることも明らかにした。 以上から、今回の実証実験により、PM技術を利用した明視性向上照明技術は文字の読み易さを向上するのに有効であることを実証した。これらの課題を解決することで実環境下での使用が期待できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年6月に英国シェフィールドで開催された国際会議(LS16)で発表予定でしたが、6月18日の大阪北部地震のために関空から飛行機が飛ばず、出張を中止した。このため、2019年度に本研究の成果を国内外の大会で発表する計画である。また、本研究の成果の実用化に向けて、プロジェクター技術、プロジェクションマッピング技術について調査しながら、現状の課題を解決するために、より多くの被験者の協力を得て、より幅広い実験条件で実証実験を継続して行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、本研究により開発したプロジェクションマップ技術を応用した明視性向上技術の有効性を検証することを目的として実証実験を行い、その効果を実証した。また、特許出願も行った。しかし、2018年度は大阪北部地震の影響でこの成果を十分に発表することができなかったため、国内外での学会での発表と国際学術雑誌への論文投稿を行う。 同時に、2018年度の実験により、本技術を実用化するためには、プロジェクターの解像度などの性能の向上と、システムの簡素化と小型化を図る必要があるという課題を明らかにした。特に、印刷された文字の上にそのコントラスト向上のために文字の画像を重畳させるので、印刷の文字と画像の文字の両者がぴったりと重畳することが理想である。本研究では最終的な微調整のために手作業を要するという実用上の問題があった。そのため、この技術の真の実用化に向けて、既にプロジェクションマッピング技術を活用している先行例を調査し、それを有効に活用することにより課題上述の課題を解決する。 そのために、大阪大学の岩井大輔准教授と和歌山大学の天野敏之教授にこの分野での先端技術提供を依頼して、その技術を活用した機能モデルを構築する。さらに、その機能モデルを用いて実証実験を行う。実証実験の内容は2018年度と同様に、白い紙(反射率80%)を背景とした150字の黒い文字 (反射率28と52%)により構成される5行の日本語の解説文を印刷した基準視標を提示する.その基準視標に予め作成した種々の画像をプロジェクターで投影する。これにより、独立変数とした順応輝度と輝度コントラストを変化させた評価視標を提示する。被験者は、これらの視標を観察し、従属変数として「読み易さ」と「眩しさ」の程度を評価する計画である。
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Causes of Carryover |
国際会議で発表する予定であったが大阪北部地震のために出張できなかった。航空券及び宿泊料のキャンセル代のみを支出したが、戻ってきた残りの予算が次年度使用額になった。 また、2018年度の実証実験に使用したシステムは、調査時間の不足のために、最先端技術を導入することができなかったため、実験システムの購入のための費用を少なく抑えられた。これらの理由により、50万円程度の次年度使用額が生じた。この費用を2019年度活用する。しかし、50万円ではシステムの改善の費用には足りないので、その費用は別の予算から捻出し、構築した新しいシステムを活用して、より実用的な機能モデルを用いて、実証実験を行う。そのため、次年度使用額の大半は被験者の謝金として活用する。 また、昨年度十分な発表ができなかったので、2019年度には国内外の学会発表と論文投稿を行うための費用に使用する計画である。
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