2017 Fiscal Year Research-status Report
未利用エネルギーを主体とした熱供給網の構築-貯留水の有効活用手法の検討-
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16K06609
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 清香 広島大学, 工学研究科, 准教授 (00396300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 涼太 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80432566)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 未利用エネルギー / ヒートポンプシステム / 貯留水 / 熱供給 / 熱源システム |
Outline of Annual Research Achievements |
瀬戸内地方に多数賦存する貯留水を空調用途に活用する貯留水ヒートポンプシステムの年間性能予測手法を検討した。今年度は実験とCFD解析により、貯留水中に放熱を与えるときの拡散過程を検証し、自然対流を簡便に表現する方法を検討した。 実験は三重大学が所有する温度成層型蓄熱槽を用いて行った。深さ1.8 mのうち下半分を約15℃、上半分を約25℃として夏季の温度成層を再現し、底部からヒーター加熱を与えたときの垂直温度分布をヒーター直上および周辺部で観測した。ヒーター直上部の温度分布より、境界面高さは徐々に上昇する様子が確認された。これは、上昇流が周囲流体と同じ温度になった時点で密度差による駆動力はなくなるものの、慣性力により高温層を浸食することによる。上層部の温度は5 h後にもほとんど変化がなかったことから、温度成層の条件下では放熱の影響は低層部のみに及ぶことがわかった。これらの現象は過去の垂直実験モデルでも見られたが、今回のように放熱範囲を水平方向にも広げた実験においても実証されたことは一定の意義がある。 さらに、CFD解析により自然対流の面的な評価を行った。上昇流は境界面高さに到達後、水平方向へ流れ出し、周辺部では水平方向に温度分布は見られなかった。また、上昇流は放熱面より狭い範囲に発生し、特に中心部で高温になる傾向が見て取れた。従来の性能予測方式では、水体全体に排熱を均等に分散していたが、自然対流を考慮する場合は上昇流と周辺部それぞれについて高さ毎に重み付けをする方法が適すると考えられ、本研究では、そのような自然対流の面的な評価方法として受熱量比マップを作成した。今後、空調用エネルギーシミュレーションにより、自然対流による拡散を考慮しながらも短時間で熱源温度の年間変動を計算するためには、ここで得られた受熱量比は有用な知見となるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貯留水ヒートポンプ運転時の熱源温度を簡便に予測する「マクロモデル」構築に向け、今年度までの実験およびCFD解析により自然対流の表現方法についておおよその道筋が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は年間計算のベースプログラムに放熱による自然対流のコンポーネントを組み込むことで、貯留水ヒートポンプシステムに適した計算手法(マクロモデル)を構築する。また、マクロモデルを用いて、設計条件や運転方法を変更したときのケーススタディを実施する。
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Causes of Carryover |
実験に関し、当初はプールを貸し切り、熱源機等の設備もリースすることを想定していたが、三重大学の好意により(共同研究として)実験装置や熱源機をほぼ無償で借りることができたため。この余剰金により、日程的にかなわなかった追加実験を次年度実施予定である。
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Research Products
(3 results)