2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06613
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
富来 礼次 大分大学, 理工学部, 准教授 (20420648)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鶴 徹 大分大学, 理工学部, 教授 (30152193)
岡本 則子 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00452912)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 室内音響設計 / 残響時間 / 非定常波動音響シミュレーション / 拡散音場 / 有限要素法 / 吸音率 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、学校の教室や企業の会議室、一般家庭のリビング等、コンサートホールや講演会会場といったこれまで建築音響設計の対象としてきた空間に比べ、比較的小規模な室に対しても、児童への学習効果向上やプライバシー、生活の質(QOL)改善を目的に音環境の設計が実施されることが増えてきている。このような室内音環境を設計する際、最も基本的な性能として室の残響時間が対象とされるが、一般的な残響式を用いて予測された残響時間は、しばしば実際の室の残響時間と乖離する。しかし、これらの空間では、コンサートホール等の音環境の計画・設計段階で頻繁に実施される模型実験(物理シミュレーション)や数値シミュレーションが実施されることはほとんどなく、音響設計者や現場施工者の「経験と勘」に依存しているのが実情である。そこで、本研究では、一般的な残響式による予測値と実際の値が乖離する要因として、室内音場の拡散性に着目し、室内音場の定量化とともに、簡便な残響時間補正手法の開発を試みる。研究初年度は、以下4項目を実施した。 1、一般的な室内音場に対する非定常波動音響シミュレーションの実施:室形状、容積、吸音性状、周波数の異なる72音場のシミュレーションを実施した 2、拡散音場を仮定した場合の残響時間と音響シミュレーションより得られる残響時間の比較:1で実施したシミュレーション結果を利用し、それぞれの音場で両者の比較を行い、両者に差異が生じる音場の特徴を把握した 3、音響シミュレーション結果を用いた室内音場の拡散性の定量化指標の算出:1で実施したシミュレーション結果を利用し、それぞれの音場で全壁面へ入射する音のエネルギーに対する吸音材へ入射する音のエネルギーの割合を算出した 4、検証用模型実験の準備:摸型実験の計画を行い、一部材料を購入した
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた室内音場の非定常波動シミュレーションについては当初計画していた以上の72種の音場で実施するとともに、拡散音場を仮定した場合の残響時間とシミュレーション結果から得られる残響時間の差が生じる音場の傾向を把握した。さらに、次年度以降の計画としていた摸型実験の準備も実施したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果をふまえ、実施計画に記載した残りの項目として、以下を実施する予定である。 1、拡散性に着目した室内音場の分類 2、拡散性を考慮した残響時間予測手法の開発 3、摸型実験による残響時間予測手法の検証 なお、実施計画に記載した実在音場における検証実験は予算を効率的に利用するため実施せず、非定常波動シミュレーションの対象とする音場を計画に記載した30音場の倍以上に増加させるとともに、上記3の摸型実験による検証を詳細に実施し、研究成果を高める予定である。また、情報収集及び研究成果発表のため、国際学会・国内学会及び研究会に参加する予定である。
|
Research Products
(1 results)