2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of sound on vibration sensation for horizontal vibration generated in vehicle and amusement facility
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16K06622
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松田 礼 日本大学, 理工学部, 教授 (30469580)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動感覚 / 振動環境 / 振動加速度レベル / 生理心理反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は車両等の振動環境を想定した水平振動を対象として,振動感覚に音が与える影響を検討した実験的研究である。実験は振動と音を同時に暴露し,質問紙調査による心理反応測定と心電図等の生理反応測定を実施した。心理反応はME法と7段階評定法により振動の感覚的強さと不快感を測定し,生理反応測定は心拍数,LF/HF,鼻部表面温度,指尖容積脈波を測定した。前年度までの音量・振動感覚曲線(振動と音を同時に暴露した時に両者を同等の大きさに感じる等価騒音レベルと振動レベルの関係を示した曲線),及び振動と音の同時暴露実験の結果から,一部の条件で音量が大きくなると振動の不快感が増加する傾向がみられたため,等感覚音(振動と音を同等の強さに感じる音量)よりも小さい音量における振動感覚への影響を調べた。振動感覚に及ぼす音の影響について生理反応の時間変化も調べるために,1条件あたりの振動暴露時間を30秒から10分に拡張して実験を行った。 心拍数,LF/HF,鼻部表面温度,指尖容積脈波の測定結果から,多くの振動・音条件で安静状態とほぼ同じか副交感神経系が優位に働く傾向がみられた。LF/HFと指尖容積脈波は振動の暴露時間に着目して解析したが,いずれも暴露時間による大きな変化はみられなかった。振動の感覚的強さは振動レベルに比例して増加する傾向がみられ,振動の不快感は振動加速度レベルが増加すると大きくなる傾向がみられた。振動条件が同じ場合,生理反応,心理反応のいずれの結果も本研究で使用した音条件(WN,楽音等)による違いはみられなかった。以上の結果から,本研究で実施した車両環境を想定した水平振動は,生理学的には疲労が発現するほどの大きな生体負担にはなっておらず,心理学的には振動の感覚的強さは音による影響は小さいが,振動の不快感は振動加速度レベルにより振動単独に対して不快感が軽減された音条件が複数認められた。
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