2016 Fiscal Year Research-status Report
欧州の景観情報共有システムと景観観察手法の国際比較と日本での応用研究
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16K06640
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮脇 勝 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30280845)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境権 / 景観権 / 景観観察手法 / 写真分析 / 愛南町外泊 / ふるさと / 景観観察センター |
Outline of Annual Research Achievements |
欧州の環境情報共有システムと景観観察手法の国際比較と日本での応用に関する基礎的な研究を行った。具体的に、欧州の環境情報共有システムに関しては、欧州ランドスケープ条約に基づく活動で、各国の情報共有システム整備状況を調査した。一方、景観観察手法に関して、日本での応用を具体的に図るため、愛媛県愛南町外泊地区における石垣景観の観察手法として、写真を用いた調査方法を開発し、査読付き論文を作成、日本都市計画学会にて発表した。また、その調査方法を発展させ、名古屋市名古屋城地区における石垣景観の分析方法を検討した。また、東京オリンピック2020に向けた施設整備が進められており、特に東京都渋谷区や港区などにおける開発が、景観に与える影響が大きいことから、その環境影響評価のための景観観察手法や分析手法を検討した。 さらに、2011 年の福島の原発事故で広がった環境汚染によって、「ふるさと」の風景が日常生活から奪われたため、避難者により全国で訴訟が既に始まっている。2017年までに確認された27件の「ふるさと喪失」に関わる集団訴訟を調査した結果、精神的損害を訴えた訴訟文章の中で、「ふるさと」の意味が問われ、「ふるさと」の概念の中に、本研究の対象となる景観概念が含まれていることがわかった。この場合の「ふるさと」の景観概念の具体的には、「自然」「伝統文化」「コミュニティ」「土地利用」「食」「住居」「家族」「仕事」「学校」「墓」「思い出」に分類できる結果となり、研究論文を現在作成中である。 原発事故のみならず、各地で多発する自然災害も踏まえ、日本の一般的な問題として、周囲の安全性を含む環境情報の共有が重要性を増していることから、「ふるさと」の景観概念を含む景観情報を扱うため、景観観察センターの研究を継続的に行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査について、現地調査を主に実施し、おおむね順調に進展している。海外調査については、文献調査はおおむね順調に進展している。海外の現地調査は、平成29年度に集中的に行う予定である。論文の作成も、順調に進展していて、平成29年度に発表が行われる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に海外現地調査(イタリア、ドイツ、欧州ランドスケープ条約国際会議など)、国内外の論文発表の準備を行っており、平成28年度までの研究成果を国内外で討論し、今後の調査に活かすことを考えている。論文の作成も、順調に進展していて、平成29年度に発表が行われる予定である。 今後は、各地で多発する自然災害も踏まえ、日本の一般的な問題として、周囲の安全性を含む環境情報の共有が重要性を増していることから、「ふるさと」の景観概念を含む景観情報を扱う景観観察センターの研究を継続的に行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度において、複数の海外調査を予定しており、また、論文発表のための国際会議の出席を多く行うことが必要になったため、平成29年度の予算に繰り越して使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、複数の海外調査や、国際会議(イタリア、ドイツ、欧州ランドスケープ条約国際会議など)に参加し、景観に関わる海外での論文発表や研究打ち合わせ、討論を計画している。
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Research Products
(6 results)