2016 Fiscal Year Research-status Report
生活要求に基づく戸建て住宅地の更新メカニズムに関する研究
| Project/Area Number |
16K06643
|
|---|
| Research Institution | Kobe University |
|---|
Principal Investigator |
山口 秀文 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60314506)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 都市計画 / 建築計画 / 戸建住宅地 / 郊外住宅地 / 居住 / 生活要求 / 自力更新 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず、これまでの研究代表者の戸建住宅地の研究蓄積の整理・再分析、文献資料による予備調査を行った。そして、開発当時は都市近郊の郊外住宅地として計画されたが、都市化の中で市街地に包含された市街地型の郊外住宅として、大阪府箕面市の桜ヶ丘住宅地を対象地として研究を進め、約100年間の変容を明らかにした。特に、環境維持・居住継続に関わる世代交代を通じた家族での継承に注目した。
この対象地は、1922年の対象住宅改造博覧会を機に開発された郊外住宅地であり、開発後、居住者も世代交代や住み替えで変化し、宅地区画も開発当初から細分化などで大きく変容している点が見られる。
約100年間の桜ヶ丘住宅地の変容過程を、既往研究・文献、地形図、住宅地図、空中写真、旧土地台帳の分析から、その実態と特徴を明らかにした。その結果、①桜ヶ丘住宅地は大正住宅改造博覧会、大同土地興業株式会社、阪急電鉄の時期の異なる３つの開発主体よる開発エリアがあること、②開発時期(1922-1945年)、分割時期(-1970年)、定着時期(-1990年)、それ以降の部分的分割期(1990年-)の4期に区分できること、③特に大正住宅改造博覧会の開発エリアのみが宅地の細分化があまり見られず、約100年間安定していること、④複数の土地を所有している居住者が一定数存在していること、を明らかにした。家族と住宅の変容に関して、詳細な居住者（家族）へのヒアリングから複数の土地・住宅の所有により、親世帯・子世帯の隣居・近居が可能になり、地域内での世代を超えた居住継続が可能となっていること、大正住宅改造博覧会の住宅や大正時代に建設された洋館風の住宅に居住する家族の住宅への愛着が強く、住宅を維持しようとする意識が高く住環境が維持されやすくなっていることを明らかにした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた市街地型（開発当時は都市近郊の郊外住宅地として計画されたが、都市化の中で市街地に包含された戸建て住宅地）と郊外型（都市化の後、市街地の周辺部に開発された戸建て住宅地）のに事例を対象に研究を進める予定であったが、平成28年度は市街地型のみの研究となり、郊外型の住宅地の事例選定が遅れたため。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成２８年度に研究を進めた市街地型の対象である桜ヶ丘住宅地の研究について新規居住者にも注目して推し進め、郊外型の事例選定を行い、調査・研究を進める予定である。
研究代表者が所属する神戸大学の研究室に研究を進める基礎的な設備は整備されている。研究課題に関連するこれまでの現地調査資料、統計・専門書などの資料の蓄積と合わせ平成28年度に入手した資料を活用して研究を進める。また、研究室学生の調査補助、調査研究資料整理により効果的に調査研究を行う。
|
