2016 Fiscal Year Research-status Report
防災計画技術史としてみる有明海沿岸低平地の集住地形成と空間システム
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16K06647
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
後藤 隆太郎 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284612)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前近代の集落 / 近現代の住宅地化 / 低平地 / 微高地 / 集住及びコニュミティー / 計画技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
a:計画技術に着目した低平地の集住地形成史(前近代~近代史)関連 ・「在来地歴史学会」に参加、佐賀大学低平地沿岸海域研究センターとの交流、地域郷土史家等との接触により、関係する当該地域資料有無や研究上重要な研究者の存在を整理した。・牛津川下流部低平地の圃場整備従前図から各筆(地積)の標高を地域全域的に図化し、土地や集落の成り立ちや集落形態タイプを整理、それぞれ地区での水害やその対処の違いから、集落空間(計画)タイプごとの合理を検討した。 b:現代の基盤継承型の集住地形成にみる特性と課題(近現代+計画課題の抽出)関連 ・牛津川下流部低平地である長崎街道牛津宿周辺の郊外住宅地には、空間基盤の異なる二つの住宅地が存在することが調査で明らかとなった。一つは農村集落に依拠して形成した住宅地、今一つは、圃場(整形)に区割りしてできた住宅地である。また、地区限定戸配布アンケート実施を通じその居住者像や新旧住民の混在状況、また前者では新旧住民が子供を核とした行事等でコミュニティー形成を行ってきたこと、中心部ほどの空洞化はないが将来の持続については課題があることが明らかとなった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年に予定していた干拓工事や堤防技術については近現代の海外からの技術的影響は認められるが、近現代の居住環境形成について現時点では資料収集等から認めがたいことがわかった。 また、前近代には自然地形に依拠した居住環境形成理念が認められるが、近現代の部分積み重ね型の居住環境形成に専用住宅地としてのみの空間計画であるなど集住地のかたちの形成理念は単純明快であるが、一方でその後のコミュニティー形成を工夫してきた状況がこれまでの調査研究から明らかになりつつある。 以上の結果などから、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・近現代の集住地形成について、主として佐賀県小城市沿岸部から内陸部とし、一つは農村集落基盤に依拠して形成した住宅地、今一つの圃場(整形、条里制遺構の影響を含む)に区割りして形成した住宅地、これらのコミュニティー形成を含む空間形成システムの比較検討を継続的に実態的に調査研究する。具体的には1)新旧地形図を用いた小規模居住地の空間形成プロセス、2)集住地の空間構成および敷地の空間利用実態及び課題の検討、3 )住民(農家等)の空間管理活動や新住民等のコミュニティー形成の実態と課題の調査などを予定する。 ・また、国内外等の部外からの計画技術等の移入の存在については、それが無い可能性も高いが、その有無を文献調査等から調査確認しつつ、前近代と近現代の空間システムの本質的差異について考察する。
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Causes of Carryover |
文献費は複写が中心であり購入が軽減された。また、旅費は近隣中心であり当初の予定よりも軽減された。その他投稿費は予定より軽減された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複写した文献をデジタル化するため今後謝金として使用。旅費については遠方などで文献等調査費として使用予定(一部海外も可能であれば実施したい)。 その他の項目は、論文投稿費はどとして次年度に繰り越して使用する予定である。
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Research Products
(2 results)