2017 Fiscal Year Research-status Report
離島集落の構成と社会関係資本の変遷にみる日本型サスティナブルコミュニティの原則
Project/Area Number |
16K06649
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
姫野 由香 大分大学, 理工学部, 助教 (10325699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 卓 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10361528)
牧田 正裕 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (60292083)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 離島 / 社会関係資本 / 社会共通資本 / サスティナブル / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、離島統計年報に基づき、全国の有人離島のなかから1)ケーススタディ対象にふさわしいサスティナブルな条件を有する離島の抽出を行った。さらに、平成28年度までに明らかにした、近代都市論や集落地理学における集落構成の分析的「項目・視点」に基づき、2)1つの離島において文献調査や現地調査を実施し、当該離島におけるサスティナブル・コミュニティの要件が抽出可能かの検証を行った。具体的には、以下のとおりである。 1)離島統計年報をもとに、1975~2015年までに、人口や産業指標が「維持」または「改善」している離島を、持続可能性を有している離島として5島を抽出した。 2)平成28年度までに明らかとなった社会関係資本としての「共有地(オープンスペース)」「交通」「建物配置」「土地利用と生活空間」に加え、集落における社会関係資本の分析項目として、「規範意識」「土地・家制度」「産業」「連帯感や地縁」を加えて、姫島村におけるケーススタディを行った。 その結果、サスティナブル・コミュニティの要件は「共同体」「産業」「交通」「オープンスペース」「土地利用と生活空間」の項目により整理できることを確認した。具体的には以下のとおりである。 【共同体】相互扶助を実現する地域共同体や世代間で慣習を引き継ぐ仕組みの存在。【産業】徹底した資源管理と規範意識による後継者確保の仕組み,生活を支える複数産業の存在。【交通】『セド』により,居住と労働場所が結びついている。【オープンスペース】各地区に,慣習や祭事などの地域活動の際に,住民にとって利用頻度の高い公民館や生業に関する施設が継続して存在。【土地利用と生活空間】地域に根差した工夫がなされた集落構成や家屋であることがサスティナブル・コミュニティの要件であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
離島での現地調査準備において、調査項目の設定に予定より時間を要してしまい、1つの離島でのケーススタディにとどまった。最終年度に他の離島の調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに確認した調査項目、ならびに文献調査などの事前調査手法、ヒアリング調査手法を活用して、残りの対象離島の調査を行う。また、現地調査にあたっては、共同研究者と協力して、サスティナブル・コミュニティの要件に不備がないかの検証を丁寧に行う予定である。
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Causes of Carryover |
抽出した持続可能性が確認された離島での調査の前に、「調査項目」を確定するために実施した事例地域での調査が難航したため、現地調査旅費が支出できなかったため。次年度は、複数離島に調査に赴くため、旅費と調査機材などで大きな支出が予定されている。
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