2016 Fiscal Year Research-status Report
行政区画不問で共有された生活像を起点とするフランスの広域プロジェクト都市計画
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16K06650
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 首都圏整備計画 / グラン・パリ / マルセイユ / 都市再生 / 政治主導 / 郊外化 / スマート・スプロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3点の出版により成果を公表した。内容は、フランスの首都圏整備計画、マルセイユの都市再生、フランスに於ける郊外脱出研究の翻訳である。 フランスの首都圏整備計画研究は、2016年1月に首都圏共同体が設置された時点までを法学研究者の論考集の中でまとめた。そのため、ガヴァナンスを中心とした記述となっている。これは、現時点では結局のところ、具体的プロジェクトとして動いているのが地下鉄建設のみであることからも正当化されよう。さらに、フランスでは2017年5月に大統領選、同6月に下院選挙があり、パリ市の革新系市政と中央のねじれが予想されるので、この時点までをまとめれば現時点では十全と考えた。 マルセイユの都市再生は、都市計画研究者の論考集でまとめたもので、プロジェクトを中心とした記述である一方、大統領や市長の牽引力を記述し、政治主導のあり方に関しても考察した。さらに、それがガヴァナンスに及ぼす影響に関しても考察した。他方で、港湾機能の強化そのものに関しては研究が及ばなかったので、今後の課題としたい。また、別の課題とはなるが、イタリアのジェノヴァの港湾再生が先行する動きを見せており、それもまた追跡する必要がある。 フランスの郊外脱出研究は、フランスそのものというよりも、日本や中国も含めた世界史的研究である。問いとしては、それらが現代に於いて到達した外部性を負担しない異常な郊外生活のあり方だが、他方で、では現代のコンパクト・シティ構想が絶対善かという疑問を持った。そのため、訳者解題としてスマート・スプロール論を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3点の出版は、順調な進捗状況と思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
とりわけ世界遺産登録されたフランスの銘醸地の都市計画を分析することで、6次産業の盛んな風土にコンパクト・シティ論を強制するのが愚策であることを考察する。同時に、ではそのような風土での都市計画、さらには文化財保護やガヴァナンスのあり方を考究する。
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Causes of Carryover |
2016年度はサバティカル期間で、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)に滞在している。首都大学東京の海外派遣費用を受領できたため、それを充当した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年8月まで上記研究院で客員研究員をしつつ、とりわけ銘醸地の世界遺産の管理計画の広域調整に関して研究するのに必要な滞在費・研究費に充当する。
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