2017 Fiscal Year Research-status Report
行政区画不問で共有された生活像を起点とするフランスの広域プロジェクト都市計画
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16K06650
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワインスケープ / 文化的景観 / 世界遺産 / サン・テミリオン / シャンパーニュ / ブルゴーニュ / マルセイユ / スマート・スプロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前半はフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)に客員研究員として在籍しつつ、主にワインスケープに関する資料収集、聞き取り調査及び現地調査、さらには研究の基礎固めを進め、後半はそれらの成果をまとめることを主眼とした。それらをまとめると以下の3点に整理できる: 1.企業の広報誌のワインスケープ特集を監修することを通じ、現在の研究に欠落している部分を再認識し、それを補完する資料などを再確認したこと。とりわけジャン=ロベール・ピットの著作の批判的読解の必要性や、味覚の名勝地制度の調査の必要性を看取した; 2.ワインスケープそのものではなく、その保全を担う都市計画制度の分析を通じ、コンパクト・シティやスマート・シュリンキングとは異なる、スマート・スプロールの概念とその制度設計を考察したこと。さらに、それらにサーヴィスする商店などをまとめたコンパクト・マーケットの考え方と、その副作用としての屋外広告物の氾濫や景観の紊乱を抑止する制度をフォローした; 3.それらをまとめる形でシャンパーニュに関する各論を出版し、さらにフランスのワインスケープ全般に関する書籍の原稿を準備した。 また、併行して、マルセイユに関し、地方分権の誤謬を認識した国家主導の都市開発、文化政策による都市再生とガヴァナンスの拡張、さらにアジア・モンスーン型、北欧型、砂漠型のいずれとも異なる地中海型の建築・都市の環境学の基礎的研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワインスケープの研究が一段落したことは、順調な進展の証左と思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
ワインスケープ研究に関しては、上述の論点に加え、都市計画や文化財保護の6次化を含めて論じてゆく。マルセイユに関しては引き続き資料の収集と読み込みを行う。
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Causes of Carryover |
本年度は前半はサバティカルでフランスに長期滞在したことで、複数回飛行機を使う予定が1回のみになり、航空料金を節約することができたため。次年度はマルセイユも含めて短期で複数回の渡航調査が計画されており、それに充足する。
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