2018 Fiscal Year Research-status Report
集合住宅のインフィルに求められる可変性の検証と高齢社会への対応
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16K06660
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 一誠 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (10407223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 集合住宅 / 間取り変更 / 居住履歴 / 可変性 / KEP |
Outline of Annual Research Achievements |
1982年以来35年間にわたって住み続けられている集合住宅エステート鶴牧3団地を実例として、専有部のインフィルの改修履歴を時系列的に分析し、1980年代初頭に開発されたKEP(Kodan Experimental housing Project)における可変性の有用性を検証することを本研究の目的としている。改修履歴の変遷について1983年、1995年、2005年、2014年の調査結果を踏まえ、2017年末から2018年初めに行った第5回調査のアンケートおよびヒアリング調査の結果、管理組合に提出された「住宅模様替え願」を加味して、住まい方の変化、インフィル改修の時期、間取りの変遷などの改修履歴や住みこなしについて分析を行った。 大規模修繕工事は1992年、2002、2014年に3回、実施されている。一戸あたりの工事金額は1回目は約50万円、2回目は約95万円、3回目は約72万円であった。エレベーターを有しない4階建ての階段室型住宅であること、外壁は塗装仕上げであることなどが奏功していた。 中層棟の専有部においては、可動間仕切り、可動収納ユニットが備わっているA,Bタイプでは、それらが配備されていなかったCタイプと比較して、間取り変更が多く実施されていた。建築的な可変性が家族構成、ライフスタイルの変化への対応を容易にしてきたと言える。1982年当初から住んでいるある居住者にヒアリングしたところ、「入居した当時、何人子どもを持つことになるかは不明であったが、可動間仕切り、可動収納壁があり、将来、対応しやすいということは魅力であり、購入の動機となった。結果的には可動収納壁を動かさなかったが、動かすことができるということは、家族にとって心理的に助けになった。」と述べており、間取り変更を行わずとも可変性が備わっていることには、大きな意味があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果について、下記の論文を発表した。①Adaptable Infill for the Durable and Sustainable Japanese Housing, The 18th Science Council of Asia Conference、②The effects of the KEP adaptable infills for the aging residents,PROCEEDINGS OF THE OPEN BUILDING FOR RESILIENT CITIES CONFERENCE, pp.99-106, Los Angeles, California, USA, December 6-8, 2018, An International Conference Organized jointly by The COUNCIL ON OPEN BUILDING and The CIB W104 OPEN BUILDING IMPLEMENTATION、③Adaptable Infill for Aging Society, pp.1739-1745, PROCEEDINGS 12th International Symposium on Architectural Interchanges in Asia (12th ISAIA), ④Post-Occupancy Evaluation on Huifengxincun Community in Wuxi, China, Lingxiang Ma, Kazunobu Minami, pp.863-869, PROCEEDINGS 12th International Symposium on Architectural Interchanges in Asia (12th ISAIA
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果を踏まえて居住者、学識経験者と議論を行い、分析を深耕させる。研究成果の取りまとめて各種学術会議、論文に投稿・発表する。 2018年度日本建築学会大会には、KEP集合住宅の入居後35年目の実態調査結果の概要(1),(2), (3)を発表した。2019年度はKEP集合住宅の入居居後35年目の実態調査結果の概要(4),(5),(6)として研究の進捗状況を発表する。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表するため、アジア学術会議(日本学術会議主催)および米国ロスアンジェルスで開催された建築・都市分野の世界的な研究組織CIBのW104年次会議に投稿したところ、両方とも採択されたが、前者は2018年12月6日、後者は同12月7日がオーラル発表日となった。連携会員である日本学術会議主催の国際会議に出席し発表した。後者の国際会 議にて発表予定であった研究成果について、別の学術会議にて発表を行うため、予算を繰り越すこととした。
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Research Products
(18 results)