2018 Fiscal Year Research-status Report
縮減社会に対応した小規模・分散型の教育環境提供のための学校計画
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16K06662
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 俊介 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (50339082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣野 義典 東京理科大学, 理工学部建築学科, 准教授 (60385523)
倉斗 綾子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (80381458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小規模校 / 統廃合 / 学校運営 / 複式学級 / 離島留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.極小規模校の運営に関する調査:極小規模校に特徴的な教育形態である複式学級をもつ小学校を対象として授業観察調査を行った。一日の中でも個別学習、学年別・2学年合同の授業から全校合同授業まで幅広い集団編成が観察された他、2学年合同で授業を行うためのカリキュラムの工夫と余裕教室の活用等の複式学級を運営するノウハウを見ることができた。また、複式学級の教室内の空間構造に地域毎に特徴がある可能性が示された。(伊藤) 極小規模校をもつ山村・離島の特色ある施策として、学校存続・地域活性化をはかる離島留学プログラムを長年にわたり継続的に実施している離島での調査を行った。その結果、地域交流を組み込んだ授業や行事が数多く、島の地域資源全体を活用して教育が行われている実態が明らかとなり、地域と一体化した極小規模校の特徴・利点が示された。(垣野) 2.学校運営・学校統廃合政策に関する調査:首都圏を中心として、小規模校を抱える自治体を対象に学校配置・運営と統廃合政策に関するヒアリング・文献調査による実態調査を行った。その結果、都市部では少子化の進行と再開発の影響が大きく、近郊では現状の地域差が大きく、これらの背景が統廃合施策に影響していることが明らかとなった。(倉斗) 3.海外事例調査(欧州):デンマークで大規模な統廃合を実施した自治体を対象に現地調査を行い、学校配置の変遷と現状の学校・施設運営について調べた。複数校を組織としては統合しながら、学校施設としては一体化せずに校舎の分散配置を維持する手法の詳細を把握した。また、公立校が廃校となった跡に地域住民が私立学校を設立する特徴的な現象についても把握した。(伊藤) 4.最新の小規模校の計画事例調査を行った。東日本大震災の復興学校数校と中国地方の小規模な教科教室型中学校の施設視察・ヒアリングを行った。(伊藤・垣野・倉斗)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
諸事情により研究機関を1年間延長したが、2018年度には前年度から積み残していた内容を含めた各種調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、2018年度に実施した各種調査の成果を日本建築学会を中心に学会発表・論文・報告として順次発表する。 学校配置や維持・統廃合に関するヒアリング調査、複式学級の授業形態に関する調査を継続して実施する。また、海外事例として韓国における小規模校の特徴的な施設計画・運営の実地調査も計画している。 研究期間全体を通じて得た小規模校の配置や学校運営・授業形態に関する知見を冊子にまとめ、建築計画および自治体・学校等の教育関係者向けに提供する。これにより、小規模校・極小規模校の運営に資するノウハウを社会にも広く共有することを目指す。
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Causes of Carryover |
研究の進捗の都合により補助期間延長を行うため、当初予定での最終年度にあたる2018年度の交付額の一部を2019年度に繰り越す。2019年度には、これまでの研究成果の発表・追加で実施する調査・成果のとりまとめ等に使用する予定である。
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