2016 Fiscal Year Research-status Report
身体密着式腕時計型端末の振動通知を用いた災害時要援護者の自助・共助避難方法の検討
Project/Area Number |
16K06667
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠田 敦 日本大学, 生産工学部, 講師 (90468851)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 成人 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00416869)
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70305556)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 避難誘導システム / 身体密着式腕時計型端末 / 情報通信端末 / 避難実験 / 通知 / 覚知 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に大規模な避難実験を計画しており、平成28年度はその実験で使用する避難誘導システムの開発と実験計画に主たる時間を割いた。 開発した避難誘導システムは、将来的には現実の災害などに連動して動作するソフトウェアとして無償で提供されるものとなることを想定しているが、本研究においては本システムによる避難誘導の効果検証を実施することが主目的となるため、調査や実験、分析のために用いる要素を含めたものとして開発を進めた。例えば、実験者らが意図したタイミングで情報を配信できるような時間調整のための機能であったり、実験の被験者らに異なる情報を配信できるような機能を実装することとした。実験の被験者らは、それぞれに情報端末を持ち、またそれぞれに身体密着式腕時計型端末を装着した上で実験に臨むことになるが、実験としては身体密着式腕時計型端末を装着していてもこれに配信しないという実験条件も想定し、これに対応できるようにした。通常のシステムであればこれらは不要なものであるが、効果検証用にこれらの機能を実装することとした。 実験計画については、平成29年度夏季から秋季の実施を想定し、2つの実験を実施することとして検討を進めている。ひとつは、高層の住居やホテルから避難する場合などで、避難行動中に随時情報が配信されるような状況を想定した実験である。もうひとつは、日常場面において、振動による通知がそれ以外の方法による通知に比べてどの程度、通知への即時対応が可能であるかを検証する実験である。前者は研究計画段階から検討していた内容であるが、後者は実験計画を検討する際に提案された内容であり、日常場面における振動通知の有効性を検証するものである。これらの実験計画に合わせて、関連する文献の調査も同時に進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するにあたり、課題となると予想されていたのが配信システムの開発であるが、現段階において配信のための主たる仕組みは実装され、前期開発プロセスの目標としたプロトタイプ構築まで完了している。システムそのものの完成は平成29年7月末頃であるが、特に問題なく順調に推移すると予想されている。 同時並行で具体的な実験準備を進めているが、過去に実施した避難実験の実績などを参考にしながら、実験遂行上、どのようなところに問題が発生しそうか予測しながら検討を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年7月末頃までは配信システムの後期開発プロセスをすすめ、プロトタイプの動作検証をしながらシステムの動作に問題がないか、また、想定している実験が実施可能かどうかの検証を進める。 これに併行して実験計画の詳細を詰めることを行う。 8~10月頃にかけて大規模な避難実験を実施する。高層住居を想定した場所を選定し、被験者を用いた避難誘導実験を実施する。合わせて、日常場面における振動通知への覚知特性の検証実験を実施する。 年度後半はそれらの実験結果を分析し、必要に応じて平成30年度にさらなる発展的な実験を実施することも視野に入れながら次年度の研究計画の検討を行う。
|
Causes of Carryover |
当初計上していた旅費を今期は使用しなかったことが理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外の研究者を招聘あるいは訪問し、国内外の避難研究の実態についての情報共有および意見交換の機会を平成29年度に設けることとする。
|