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2018 Fiscal Year Research-status Report

マンションの維持管理促進のためのBIM手法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K06669
Research InstitutionTokyo City University

Principal Investigator

信太 洋行  東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (70558155)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) Liao YuChia  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 客員研究員 (50750890)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
KeywordsBIM / 維持管理 / マンション / 詳細度 / 点群データ
Outline of Annual Research Achievements

1.既存マンションの管理組合へのヒアリング調査
神奈川県に立地する、築28年のあるマンション(5階建、全28戸、RC造)は2019年に実施する2回目の大規模修繕に向けて、工事業者の選定等の検討を進めていた。管理組合の協力のもと、保管している設計図書の図面情報からラフなBIMモデルを生成し、そのモデルを提示しながら維持管理BIMに求められるニーズ等をヒアリングした。評価は概ね好評であったが、機能や権利上の課題も抽出された。ポイントは次の三点である。1)管理組合では、見積案における面積等の数量が分からないため、BIMデータから工事別の数量を抽出できれば、それに一般的な単価を乗ずることで額の妥当性を検証できる2)この度の大規模修繕までに実施した工事履歴が、BIM上で表示されると分かりやすい3)管理会社は変わることもあるため、このBIMデータは管理会社ではなく、管理組合が所有することで財産となる。
2.三次元レーザースキャナーによる建物形状の情報取得
実際のマンションは、図面が有ったとしても現物と異なる場合が多いため、一般的には実測を通じて図面を復元する。この作業手間を軽減するために、三次元レーザースキャナーによる情報取得と、その点群データをもとにモデリングを試行した。マンションのスキャニングは許可が必要のためできなかったが、小規模オフィスビルや戸建住宅のスキャニングを通じて、作業時間や寸法精度等を確かめた。
1回のスキャン時間は約5分で、複数個所スキャンしたものを現場で統合していく。延床面積60㎡の戸建であれば外観と内観合わせて約3時間程度で終了し、PCへのデータ移行は15分程度で済んだ。しかし、この点群データは誤差や物件の歪みから15㎜程度の幅を持つため、これを下敷きにCAD上で壁等の線を引く場合、モデリングする人の判断に任される点が課題となることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

既存マンションの管理組合の要望にあった「工事履歴」を表現するためには、①既存と同じ範囲で部品を交換する②既存部は維持し、新規の部品を追加する③既存部の一部を撤去し新規の部品を組み込む、といった改修の度合いによって形状情報の詳細度や部品分割を検討する必要があることが分かった。
そこで、アルミサッシの代表的な省エネ改修構法(複層ガラス化、二重サッシ、かぶせ構法)を対象にケーススタディを行った。開口部は、内外の境界に位置し、多くの業種が関わるだけでなく、耐用年数の長い部品であるためスタディ対象として適切と判断した。検討にあたっては、普及度の高いAUTODESK社のRevit(BIMソフトウエア)を使用した。Revitは建築物のデータを「プロジェクト」、柱や窓などの建築要素や記号等の作図要素のデータを「ファミリ」という概念・仕組みで管理する。つまり、物件単位の「プロジェクト」に、建築要素の形状・属性情報をもった「ファミリ」を取り込むことで、位置情報を含んだ固有データ「インスタンス」として配置される。スタディの結果、Revitのデータ構造は、生成したファミリを他のファミリに取り込んだり(部品内の部品)、そのファミリの定義をあらかじめRevit内でセットされている「テンプレート」、部材のサイズ等の値を入力した「タイプ」、プロジェクト内の「インスタンス」で確定可能な柔軟なものであるため、何らかのルールが無ければ同じ建築要素であっても、利用者や組織によって全く別の構成になる可能性があることが明らかとなった。
研究計画では維持管理BIMを開発し、検証する予定であったが、上記のような改修時に必要な情報とBIMのデータ構造の特性を照らし合わせる必要が生じたため、「やや遅れている」と自己評価とした。

Strategy for Future Research Activity

Revit等のBIMソフトウエアを使用して、サブコンの生成する詳細図レベルまでモデリングすることは、技術的には可能であるが、以下の点で現実的ではない。
1)今まで行われてきた二次元作図と比較して非常に手間がかかる2)データ容量が大きくなる3)維持管理においては形状情報よりも属性情報の方が相対的に重要である4)企業、設計者により表現方法の差異が大きく、モデリングルールが統一されていない5)BIMの特徴である属性を持つ三次元形状では表現できない図面表現を多く必要とする6)BIMソフトウエア内の集計機能を正しく活用するためには、建築物や部位の属性データや構成を正確に定義、入力する必要があるため、非常にコストがかかる7)(現時点においては)詳細かつ正確に情報を入力することが現実的ではなく、BIMを利用する企業も積算等の処理はBIMソフトウエアとは別のソフトウエアやシステムを利用している。
今後は、BIM内で完結させるのではなく、既存の業務フローで生成される情報とBIMの連携を試みる。具体的には、入力手間の少ない企画設計に近い表現のBIMモデルに対しても利用可能な、Excelもしくはデータベースにおいて管理される、維持保全に必要となる「表情報BIMモデル」の構成要素が持つ属性情報を、抽出・追加・修正および相互に同期を行うプラグインソフトウエアとして開発を行う。

Causes of Carryover

点群データをもとに3Dモデリングするソフトウエアは日進月歩であり、現在では上記Revitの他にもAUTO CAD、ArchiCAD、Rhinoceros、CloudWorxなどがある。作業性の良さを確かめるために、これら4つのソフト全てを試行するまで購入を控えたため。
また、今年度は管理組合へのヒアリングやBIMのデータ構造の調査を通じて、維持管理BIMに求められる要件整理に集中し、具体的なBIM開発に伴う外部委託が行われなかったため。
今年度は、使用するソフトウエアを見極め、研究での利活用を検討する。また、BIMの開発に当たっては、CADシステム上のプラグインソフトウエア開発を外部委託し、具体的な形にする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 維持管理を想定したBIMデータの利活用に関する研究 ―開口部を対象として―2019

    • Author(s)
      信太洋行、塩野禎隆
    • Organizer
      日本建築学会大会(北陸)
  • [Presentation] マンションの維持管理促進のためのBIM手法に関する考察 ―開口部の補修・改修構法を対象に―2018

    • Author(s)
      信太洋行
    • Organizer
      日本建築学会大会(東北)

URL: 

Published: 2019-12-27  

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