2018 Fiscal Year Annual Research Report
The process of "closure" in relation to a former residence and acclimatizing to a new environment in the context of relocations by elderly people
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16K06670
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
古賀 紀江 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (10295454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 ゆりか (今井ゆりか) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20251324)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 転居 / 高齢者専用住宅 / 仕舞い / 場所愛着 / 主観的健康観 / 環境評価 / 環境行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後も続く高齢社会では様々な理由による高齢期の居住場所移動が発生しやすいと予測される。高齢期の転居は長く暮らした住まいや地域から離れるという危機的環境移行を導く条件を内包するものである。研究では、老人ホームや高齢者住宅など高齢者専用の住まいに転居した高齢者に協力を依頼し、転居前後の環境行動や環境評価を中心としたアンケート調査を実施ししてきた。分析から、転居前に住み慣れた住居を整理して仕舞うプロセスにおいて、それが時間的に満足に行われたという感覚や、転居前に新たな住まいでの暮らし方を考えることは、転居後に得られる達成感や新たな環境の下で醸成される場所愛着に関係するという示唆が得られた。 次に、これらの結果をさらに、より具体的な転居支援の手法に結び付けることを目的として、転居後の生活の質を維持向上するために有効な転居プロセスにおける環境行動について転居後の高評価に寄与する因子を探った。転居後の各評価を従属変数、転居前の準備の質問項目を独立変数とする重回帰分析等の分析を重ねた。結果は、転居後に新しい住まいを「自分の家らしい」と感じるためには「思い出」を持ち込むのではなく、転居前に転居先の住まいをどうするかを考え、納得いくものの移動ができることが必要であることを示した。また、転居に際して、転居を決める過程での主体性はその成果としての転居後評価に影響を与えないことが明らかになった。むしろ、荷物などが整理される「転居の完遂」が重要である。また、多くの転居が比較的短期間(中央値は約7カ月)で遂行されていた。一方、時間要因は、その後の評価に関与していないことが明らかになっている。即ち、「急に決定された転居」であっても、転居までの期間に良質な支援があった場合の効果は充分に期待されるものと考えられる。 上述の成果の補完のため、グループリビングを自主運営している3名を対象にヒアリングを行った。
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Research Products
(2 results)