2016 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会における医療福祉施設での個に配慮した包括的震災対策と実践
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16K06672
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
建部 謙治 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10131137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和夫 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50416822)
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90273276)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災計画 / 医療福祉施設 / 初動体制 / 地震動体験実験 / 避難計画 / 性格 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)病院については既に全国の災害拠点病院と一般病院を対象としたアンケート調査を終え、大地震で被災した病院、南海トラフ地震で被害を受けるとされる太平洋沿岸部の病院関係者へのヒアリング調査を継続的に実施している。現在、ヒアリングも一段落し、東日本大震災を経験した東北3県の病院の初動体制と諸課題に関する論文作成をほぼ終了した。また、震災の経験がない全国その他の病院についても、病院の規模や施設の立地条件によって災害対応に違いがあるかを、震災経験のある病院と比較しながら、詳細に分析・考察し、論文作成に取り組んでいる。ここでは、防災計画で対象とする災害の種類、震災時の初動体制、事業継続計画、防災訓練、地域連携の内容等を災害拠点病院の指定の有無、病院規模等の関係から明らかにする。 2)高齢者福祉施設については、津波や浸水から身の安全を図るため、施設内の上階へ逃げるケースと、他の場所へ避難するため下階に下り、車に乗せて避難することが報告されている。このため、建物での介護者による上下階への搬送実験を2回行い、問題点を定量的に明らかにした。並行して、2施設の職員と利用者のそれぞれの搬送に係る身体データをデータベース化を行った。また、専門家でなくても施設の防災力が判断できる高齢者福祉施設用の防災カルテの作成を行った。こうした基礎資料を踏まえ、緊急時の運搬方法、避難方法の限界や有効性を検証し、施設の防災力向上に必要な基礎データを集める。 3)振動台実験では、これまで5年間に亘って実験を重ね、現在、地震動による生理的心理的影響を個人の性格との関係で考察、論文作成に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病院に対するアンケート調査は全国規模で実施し、被害調査及び緊急地震速報調査ともほぼ終了した。また、アンケート内容の理解を深めるため大地震に被災した病院と将来大地震に見舞われる病院関係者へのヒアリング調査も並行して進めている。 高齢者福祉施設に対する初動体制や緊急地震速報に関する調査は東海地域では実施、今後は全国規模で行う予定である。津波を想定した上階への緊急避難搬送実験については、3種類の搬送パターン(おんぶ、補助具使用によるおんぶ、シーツ)で実施し、自力避難ができない人の搬送方法の課題を把握した。なお、職員と利用者の身体データのデータベース化も進めている。 地震動体験実験については若年者群と高齢者群ともに終了し、生理、心理面の分析に引き続いて、現在は個に着目した行動解析の段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)災害地の地域医療連携を成立させるための環境が整っているかどうかを、沿岸部に立地する国内外の病院を訪れ、院長や担当者からヒアリングを重ね、施設の立地条件等を考慮した地域連携医療体制の提案の基礎資料を得る。 2)特別養護老人ホーム及び認知症グループホームでは、避難計画のための実験を引き続き行い、施設管理者とともに職員に対しても、災害に対する意識や行動の判断基準等を調査する。ここでは①現況の安全対策と②安全対策のあるべき論の2点を設問構成とし、職員や施設利用者に対する新たな防災教育や防災訓練方法をこれまでの研究成果に基づいて再考する。 3)個人の性格による地震動反応や行動パターンの違いを明らかかにして、初動体制立案の知見を得るとともに、高齢者福祉施設用防災カルテによる調査分析、高齢者、要介護者に対する情報伝達手法や搬送方法を、消防、福祉、医療関係者と協働して検討する。最終的には尾張・三河地域の高齢者福祉施設に対して情報提供とアドバイスを行う。
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Causes of Carryover |
全国規模で高齢者福祉施設を対象としたアンケート調査を延期し、搬送実験も限定的にとどめたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究経費は、主に「アンケート調査」、「現地調査」、「実験」、「人件費・謝金」にかかる費用で、アンケート調査は、全国規模で高齢者福祉施設を対象に実施、費用は主に印刷・封入・宛名書き・発送を業者に委託するもので、約60 万円を予定している。また現地ヒアリング調査に関する費用は旅費の約40 万円を、搬送実験の被験者への謝金には50万円を、研究支援者用旅費に20 万円を計上した。 残りの約20万円は、研究の打ち合わせ旅費、会議費、消耗品等に充てる。
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Research Products
(1 results)