2016 Fiscal Year Research-status Report
身体活動促進のための近隣環境のWalk-Ability に関する研究
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16K06676
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 慎也 福岡大学, 工学部, 助教 (70611995)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Walk-Ability-Index / 歩行ネットワーク / 健康都市 / Isovist-Graph |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はWalk-Ability-Indexによる近隣環境評価手法の開発,歩行環境データベースの整備について取り組んだ.Walk-Ability-Indexについては,既存の指標に加えて,歩行者の視覚環境定量的に把握するためのIsovist-graphの研究を重点的に行っている.Isovist-graphは連続的に広がる都市空間をグラフ理論を用いて離散的に解析する手法であり,様々な指標を用いて多角的に空間を解析することができ,汎用性も高いことが特徴である.平成28年度は 3次元空間上を歩行者が移動する時の視覚環境解析手法に着目し,Isovist-graph解析を3次元空間データに適用できるよう,手法開発を行った.具体的には,3次元空間上にランダムに人間が分布している状態を仮定し,障害物や地形の影響を考慮した上でIsovist-graphを構築できるシステムを構築した. また実地調査と歩行環境データベースの整備については,福岡市の主要幹線道路の実態調査を行った.とくに,歩行環境だけでなく近年注目されている自転車での移動も視野にいれ,自転車の走行環境に着目した調査を行った.また,GIS データベース整備については,東京大学空間情報センターとの共同研究の体制を確立し,道路データや土地利用データを活用できるようデータベース構築を行っている.また,住環境変化がもたらす健康状態,運動量などの変化を計測するための,プレアンケート調査を熊本県内で行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,平成28年度は エントロピーによるLand-Use-Mix の定量化, 建物密度, 商店密度, 等の定量化を行うこと,また,道路ネットワークデータを利用し, 歩道の連結性, 経路の多様性をグラフ理論やエージェントモデルを用いて定量的に評価すること,を目標としていたが,これらについては既に研究実績があることから,平成28年度はこれらのなかでも,特に歩行者の視覚環境の指標化について力点をいれて取り組んだ.結果的には,2次元の解析手法だけにとどまらず,3次元空間への拡張も可能となり,概ね計画通りに研究がすすんでいると考えられる. 実地調査と歩行環境データベースの整備については,九州主要都市で歩行環境の実地調査を実施し, 近隣環境のGIS データベース整備や評価モデルを作成することとしていたが,平成28年度はプレ調査として福岡県の土地利用現況調査のデータや,ゼンリンの住宅地図データを用いて,駐車場の立地などについての解析を行った.また,自転車の走行環境を把握するために,福岡市内主要道路の実地調査を行った.さらに,熊本でも住環境の変化と健康状態,運動量を把握するためのアンケート調査を行っており,概ね目標は達成していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,九州主要都市でケーススタディーを行う予定である.市街地の歩行環境評価をWalk-Ability-Index を用いて評価し,マップ化する.対象地域は,福岡市,長崎市,熊本市,などを検討していく. 特に,物理的環境(歩道, 地形,緑地, 土地利用, 建物の高さ, D/H, 商店の種類)を詳しく調べた上で, 平成28年度に行ったIsovist-graphの解析方法も合わせて検討する. また,同地域において,身体活動量のアンケート調査を行う. 近隣居住者の属性と, 移動種類別に国際標準化身体活動質問票短縮版(IPAQ-SV)を用いた身体活動量についての調査(一地域につき回収数300 程度を目標として)を行う.
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Causes of Carryover |
主には,当初想定した調査のためのデータ整理費や調査補助費などが発生しなかったため.これは,研究室の所属学生が当該テーマに卒業論文で取り組むなかで,データ整理などの協力が得られたことから必要が生じなくなったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,当該テーマに取り組む学生がいないため,データ整理費や調査補助費などの外注,またはアルバイト費用として利用しようと考えている.
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