2017 Fiscal Year Research-status Report
安全と生活・地域再建を考慮した災害危険区域指定手法の検討
Project/Area Number |
16K06678
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒木 裕子 名古屋大学, 減災連携研究センター, 特任准教授 (40751954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 災害危険区域 / 災害復興 / 東日本大震災 / 土地利用マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災以降、津波に対しては防御だけでなく住民の避難を軸としたハードとソフトの組み合わせにより対策を考える「減災」の考え方が示された。しかし実際の被災地では、津波浸水想定シミュレーションによる建物被害がベースとなる災害危険区域の指定が先導し、避難行動といったソフト面の対策は先送りされ、建物被害が大きい地域ほど住宅移転が必要となり、地域や住宅の再建に時間がかかる状況になっている。本研究は、平時及び被災後の災害危険区域指定の方法の新たな枠組みの構築を行うことを目的とし、今年度は昨年度より取り掛かっていた東日本大震災浸水地に耐する災害危険区域指定状況のGIS化によるデータベース構築を継続し、データベースを用いた統計的な比較分析及び現地調査を行った。データベース構築は先行していた仙台湾沿岸に加え、三陸沿岸のGIS化を行った。データベースを用いて、災害危険区域指定が行われた地域の人口分布と土地利用用途を示した。また、災害危険区域指定が行われている地域と行われていない地域の被災前の人口分布及を比較し、リアス式海岸沿岸部及び仙台湾沿岸平野部の地形特性が異なる事例で、指定していない地域の津波対策について調査、分析を行い、特に都市部では移転後の住宅確保の困難性が影響を与えていることを示した。また仙台湾沿岸部における災害危険区域指定過程及び指定後の生活状況を、行政及び住民に対して聞き取り調査を行い、指定プロセスの状況と課題を示した。加えて海外の土地利用マネジメント事例を文献調査し、インドネシアのメラピ山噴火及びジャワ中部地震、ジャカルタ低地部の取り組みについて現地調査を行った。また南海トラフ地震津波で浸水が想定されている海南市において土地利用状況及び避難等の津波対策の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中で研究代表者の所属変更があり、研究環境の再構築の必要が生じて分析作業に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
南海トラフ地震津波等により今後被災が想定されている地域の土地利用マネジメント及び災害対策検討状況を調査し、これまで得られた既存の災害危険区域指定上の課題と、他の土地利用マネジメント手法の検討から地域性に応じた留意点を示すと共に、災害後の安全、生活・地域再建を考慮した指定手法を示す。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属先変更により研究体制の再構築が生じ、一部遅れが生じた。機材購入を含め速やかに研究体制構築を行う。
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