2016 Fiscal Year Research-status Report
日本建築の近代化において伝統的建築技術者が果たした役割とその意義について
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16K06680
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
永井 康雄 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (30207972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 悟 共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (30233331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近代化 / 岩城庄之丈 / 伊東忠太 / 伊藤平左衛門 / 木子棟斎 / 木子清敬 / 大島盈株 / 建築技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 岩城家文書の書簡類及び設計図書の解読:東京・京都などの建築家・工匠及び建築工事関係者(伊東忠太、伊藤平左衛門、大島盈株、木子棟斎、木子清敬など)の書簡・葉書類約300点全てのデジタル写真撮影を完了し、その内の半数について解読・分類・整理を行った。また、岩城家及び関係する建築家・工匠の履歴書類約10点の解読・分類・整理及びデジタル写真撮影を行った。 2) 彫物大工との活動の実態解明:明治度東本願寺再建で彫刻主任を務めた岩倉理八の師匠にあたる田村家(屋号=番匠屋、南砺市)所蔵資料の概要及び関連する建築遺構を実地調査し、今後の調査・研究方法について検討した。 3)遺構調査:岩城家文書に図面や書簡が残されている富山県内に所在する社寺などの現地調査を実施した。射水神社本殿・拝殿(高岡市)、日枝神社拝殿(富山市水橋中町)、白山神社拝殿(富山市水橋開発町)、玉永寺本堂(富山市水橋西大町)、日吉神社拝殿(富山市水橋曲淵)、神明社(富山市水橋専光寺)、神明社諏訪社(富山市水橋田伏)、立山寺(上市町)、無量寺(舟橋村)、徳城寺玄関(滑川市)、養照寺本堂(滑川市)、瑞泉寺本堂・太子堂・瑞泉会館・大門(南砺市)。 4)地方で活躍した大工の事例調査として、青森県弘前市の堀江佐吉関連資料及び遺構調査を実施した。堀江佐吉の子孫宅に伝えられている雛形本や図面類をデジタル写真撮影すると共に弘前市内に残る関連建物の現地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伊東忠太、伊藤平左衛門、大島盈株などの中央の学者や建築家などと交わした書簡・葉書類約300点の内、半数の解読・分類・整理及びデジタル写真撮影を行う予定であったが、全ての書簡類の撮影が完了し、その内の半数を解読することができた。 富山県に所在する関連遺構の調査の進捗状況は当初の予定より時間がかかっているが、建築の近代化を進めた地方の建築技術者の事例として弘前の堀江佐吉に関する資料調査を行うことができた。堀江家に関する調査結果の概要は建築学会大会に投稿し、発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き書簡類の解読及び分析を行い、地方の建築技術者が近代化に果たした役割について具体的に検討する。 京都及び北陸地方、関東地方に所在する関連遺構の実地調査し、資料等の収集を行う。 近代住宅の室内装飾や社寺建築の彫刻を手がけた彫物大工との関係・活動実態について調査する。
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Causes of Carryover |
調査対象の建築物の建設経緯や建築家と工匠の役割を把握することが先決を考え、書簡類のデジタル写真撮影と解読・整理を優先したため、建築物の実地調査棟数を当初の予定より減らした。そのため、調査旅費及び資料整理などに伴う謝金の支出が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に予定していた実地調査を次年度に実施するため、調査旅費及び資料整理などに伴う謝金などに充てることとする。
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Research Products
(1 results)