2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06687
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小倉 暢之 琉球大学, 工学部, 教授 (30117569)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 春野 琉球大学, 工学部, 助教 (90739624)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 戦後沖縄 / 応急住宅 / 仲座久雄 / コンクリート建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度として、終戦直後から50年代にかけて沖縄近代建築普及における中心的役割を果した建築家仲座久雄に関する多数の文献、及び聞き取り調査ができた事は大きな成果であった。取り分け、遺族の全面的協力は終戦直後の混乱期に関する資料収集はこれまで困難とされていたが個人蔵資料の大量な発掘は沖縄戦後史の解明に大きな手掛かりを与えるものである。 また、40年代後半から50年代にかけて十分な建築資材の供給が困難な中、市民住宅の建設は沖縄の大きな課題であったが戦災復興の応急住宅として規格家と呼ばれる木造プレハブ形式の考案は特筆に値する建築設計であった。本年度はその具体的内容について設計原図のデジタル資料、並びに当時の軍政府公文書を多数公文書館等において収集できた。これらの多くは近年になって一般公開された資料でもあり、時期を得た大きな成果といえる。 また、戦後沖縄建築の特色の一つであるコンクリート造住宅の普及についても、仲座を中心とした専門家グループの存在と行政との関わりが重要な役割を果たした点も多くの文献資料の分析から明らかになった。中でも今回取集した設計図面の分析からは、新たに導入された建築材料の地元気候風土への適応を如何になすべきかという重要な課題に対して、様々な試行錯誤を試みながら展開した様子の解明も成果となった。 本年度はこれら多数の収集資料を元に、建築家仲座久雄の住宅設計活動を中心に戦後沖縄建築の地域完結的展開の特質について分析し、本土とは全く異なる建築活動内容を国内外の研究発表の場において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展しているが、各業界の取り組み内容の解明については多少の深浅の差があり、バランスのとれた資料収集が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
沖縄戦後建築史の中で仲座久雄は中心的存在であり、特に設計業界や行政界には大きな影響を与えた建築家であったが、これまで具体的な内容については建築資料の不足から本格的な研究はなされたこなかった。しかし、今回の調査で多くの建築資料が入手できた事と関係者への聞き取り調査が可能な事から仲座久雄の活動に重点を置き、その関連分野の展開を合わせて解明する事により本研究を推進する。
|
Research Products
(3 results)