2017 Fiscal Year Research-status Report
古社寺保存法時代の特別保護建造物の修理における設計変更の概念の生成とその確立
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16K06689
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
三浦 要一 高知県立大学, 文化学部, 教授 (70305803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 寺院建築 / 古社寺保存法 / 修理 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)現存する「修理設計書」および「精算書」の分析と特別保護建造物の調査 前年度の資料調査から得られた「修理設計書」あるいは「精算書」から修理に関する内容を取りまとめ、得られた知見について検証した。前年度と今年度の資料調査の成果にもとづいて、第一に「修理設計書」および「精算書」の資料的性格の解明、第二に保存図からトラス構造の導入など注目できる修理、第三に設計変更、移築や大規模な増改築について考察を加えた。当初形式の復原は設計変更として取り扱われ、諮問案件で43件が許可とあったが、その詳細について先行研究の成果に着目して検討を加えた。
(2)日本建築史研究の著書と論文などから設計変更に関する修理のデータベース化 天沼俊一の『日本建築史図録』(全6巻、1933~1939)は、日本建築史の研究史上重要な著書として周知の存在で、文化財修理に関する独自の見解が述べられ、批判的なコメントが付されていた。服部文雄の「建造物の保存と修理」(『佛教藝術』、第139号、1981)、岡田英男の「修理の技法」(『歴史的建造物の保存』所収、彰国社、1999)、村上訊一の『文化財建造物の保存と修理の歩み』(ぎょうせい、2010)は、個別の事例を取り上げ、修理の内容とその意義について論じられている。以上、先行研究では修理事例の重複が明らかになった。本研究では、古社寺保存法時代における修理に関する記述を検索し、修理物件ごとにデータベースを作成し、設計変更の内容の類型化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度はこれまで収集した資料について、その資料的性格を解明したうえで、部材の取替などで調査が困難と指摘されてきた課題などを検証した。さらに先行研究から古社寺保存法時代における修理に関するデータベースを作成し、設計変更に関する全容の解明にむけた研究が進捗中である。
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Strategy for Future Research Activity |
古社寺保存法時代には、『建造物要覧 昭和60年度』(1985)によると、34年間に345件の修理が竣工しており、昨年度に引き続いてこれまで発見されていない新たな資料を全国から発掘することに努めたい。
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Research Products
(2 results)