2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Change of Original Form of Building Under Special Protection at the Ancient Shrines and Temples Preservation Act
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16K06689
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
三浦 要一 高知県立大学, 文化学部, 教授 (70305803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古社寺保存法 / 特別保護建造物 / 修理 / 設計変更 |
Outline of Annual Research Achievements |
古社寺保存法時代における特別保護建造物の修理は、資料を基礎に検証をおこなうことにより、当初形式の解明に有用となることがあらためて指摘できる。古社寺保存法施行細則の第三條にある設計変更は、古社寺保存会に諮詢されて許可された設計変更があり、それに加えて未諮詢となっていた設計変更があることが判明した。設計変更は古社寺保存会において慎重に審議されていたが、その内容は屋根の葺材や形式の変更が多く、移築を含めて限定的なものであった。 設計変更以外に変更された箇所があり、小屋材や軒廻りは古代や中世の技法、「確固タル証蹟」が調査されないままに部材が取り替えられていた。古社寺保存会には未諮詢であったことで文書などの記録が残されず、施工後は結果的に当初形式の痕跡が失われることになった。現状のまま修理された箇所が明らかになり、竣工後に当初形式の解明が困難になっていた一因には、こうした修理の内容を把握できなかったことがあげられる。 古社寺保存法による修理は設計変更、それ以外の変更、現状のままの修理が含まれ、特別保護建造物は当初形式に後世の形式が複合することになった。竣工後における当初形式の解明には、修理の内容を3つに区分して資料を集成し、検証をおこなうことが必要不可欠となる。
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Research Products
(1 results)