2017 Fiscal Year Research-status Report
海軍施設における真島健三郎の柔構造理論の展開に関する研究
| Project/Area Number |
16K06695
|
|---|
| Research Institution | Nihon University |
|---|
Principal Investigator |
水野 僚子 日本大学, 生産工学部, 助手 (80736744)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 建築史・意匠 / 真島健三郎 / 柔構造 / 耐震 / 防衛研究所 / 海軍 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
２年次の資料調査としては、真島健三郎が活躍した時期の土木の技術者や構造技術のほか、同時期のアメリカの技術について資料収集を進めているが、当時の土木技師どうしのつながりや、アメリカのサンフランシスコ大地震後考えられた構造について、まだ断片的な情報しか得られていない。
次に、初年度に行った調査の分析であるが、まず、目黒の旧海軍技術研究所 科学及電気研究場（昭和５年頃竣工）の実測調査で得られた野帳をもとに図面を作製した。この建物は真島が建築局長時代の海軍の庁舎としては非常に規模の大きい建物で、残っているものでは最大と考えられる。この建物には、真島が提唱した単位架構やレンガ壁の使用といった特徴が見られた。
また、横須賀の旧海軍鎮守府庁舎（大正１５年竣工）と旧海軍病院庁舎および兵舎（昭和3年竣工）において採取した常時微動測定のデータを分析した。測定データから建物の固有周期を考察すると、実際に建てられた建物は柔構造の理論で目指す値よりも相当短く、その値は一般の鉄骨造や大正時代の高層建物に近い値であることがわかった。その理由の一つとしては壁やモルタルの被覆などの非構造体部分が耐力としてきいている可能性が考えられるが、建物の駆体内部を確認できないため、まだわからない部分は多い。
そして、当初予定していなかった詳細調査であるが、舞鶴に残る旧機関学校の庁舎および生徒館（昭和５年竣工）を含む４棟について、設計を担当した技手・汲川圭司氏による著作『翁の憶い出』の理解を深めるため、実測調査を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、２年次から横須賀の解体予定物件３棟の調査を検討していたが、スケジュールに変更があったため、建物の構造や部材といった駆体を確認するという作業はまだできていない。一方、当初の予定になかった目黒の旧海軍技術研究所 科学及電気研究場の実測調査の整理と振動測定を行った。また、初年度に行った舞鶴に残る４棟について、確認調査だけではよくわからない部分があり、詳細調査が必要になったため実測調査を行った。このように計画にはなかった目黒や舞鶴の詳細調査を追加したため、当初予定していた佐世保、呉、外地の確認調査は行えていない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、当時の土木技術やアメリカの耐震、免震構造について資料調査を行うほか、同時期に建てられた日米の庁舎・事務所建築について、報告書などを収集することで、調査している物件と比較検討を行う。
また、昨年度できなかった取り壊し物件の調査を行うことで、建物の構造や部材について分析を行う。
|
| Causes of Carryover |
資料調査において、手に入らなかった古書などがあったため、次年度に再度探すこととする。
|
