2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06721
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中野 裕美 豊橋技術科学大学, 教育研究基盤センター, 教授 (00319500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛍光体 / 結晶構造 / 組織・構造制御 / 発光特性 / 反応場 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノスケールで結晶構造・組織を制御することにより、新酸化物蛍光体の母体材料設計をし、従来の固相法に加え、反応場を変えながら、多様な機能性を付与した新蛍光体材料を創成するため、4つの目的に沿って、研究を遂行し、成果を挙げることができた。機能向上のために、実験的手法による原子レベルでのTEM等による組織・構造観察及び解析やXRD-リートベルト解析による精密な結晶構造解析、シンクロトロン光によるXAFS、Cs-TEM/EELS分析を行い、結晶構造、組織、発光中心イオンの配位環境と物性の関係を、ミクロスケールからナノスケールで明確にすることができた。 1.合成法の違いによる発光特性の比較と機構解明:Zn-(Sn,Ti)-O系蛍光体の固相法と溶液法の違いによる発光特性比較を解明し、論文、学会に成果を報告した。 2.組成、結晶構造制御による新規蛍光母体の設計と創成:構造相転移を利用したP添加によるCa-Si-O系蛍光体の合成と赤~青色制御の検討し、論文、学会に成果を報告した。 3.Li-Ta-Ti-O系蛍光体の応用展開:広い波長域の蛍光体合成を行い、論文、学会に成果を報告し、学生の発表賞を受賞した。またLi-Ta-Ti-O系の磁場中で反応場を変えて得られた研究成果では、EurekAlertにも投稿し、広く広報している。 4.蛍光体材料設計のための発光強度と結晶構造の関係解明:新規蛍光体の発光特性と構造の関係の明確化のため、シンクロトロン光をもちいて、配位環境、価数など新知見を得ることができ、論文、学会等に成果を報告した。また反応場を変えるため、通常の電気炉以外に、加圧雰囲気炉を産業界との連携で新規開拓し、学会にて報告し、現在論文を投稿中で、12月には特許を出願した。この新技術の導入により、合成スピードが短縮されたことは大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ナノスケールで結晶構造・組織を制御することにより、新酸化物蛍光体の母体材料設計をし、従来の固相法に加え、反応場として溶液法を用いたものとも比較しながら、多様な機能性を付与した新蛍光体材料を創成することを目的にしている。新規蛍光体としてZn-(Sn,Ti)-O系蛍光体の溶液法による論文を成果として出したこと、P添加によるCa-Si-O系蛍光体の結晶構造制御による論文を成果として出したこと、Li-Ta-Ti-O系蛍光体の広い波長域での論文を成果として出したことなど、着実に成果を公表している。 さらに、反応場として、加圧炉技術応用・開発にも挑戦し、これが12月に特許出願にできたことは予想以上の成果で現在論文を投稿している。この反応場の活用により、新規蛍光体合成の短時間化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度でもあり、新規蛍光体の発光特性と構造の関係の明確化し、同分野および産業界に向けて新知見を発信することを目標に研究を推進する。また、次につながるシードの準備として、反応場を加圧からプラズマ照射にも展開し、小型炉の技術応用をしながら、合成時間の短縮化を検討する計画を進行中である。さらに、紫色励起Li-Ta-Ti-O系赤色蛍光体の応用展開に向けて、透明セラミックスの合成にも着手し、研究を広く展開し、可能性を追求する。今年は、学会、国際会議、論文のほか、イノベーションジャパンで産業界へのアピールや英文プレスも計画しており、広く本研究成果を発信する予定である。
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