2017 Fiscal Year Research-status Report
置換サイトを区別した希土類イオン添加ペロブスカイト酸化物蛍光体の開発と蛍光評価
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16K06724
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
植田 和茂 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70302982)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / 希土類イオン / 発光 / 占有サイト / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペロブスカイト型構造をとる酸化物蛍光体AB03に添加した希土類イオンが、AまたはBサイトのいずれかを置換することによって、その蛍光および励起スペクトルの形状に変化を与えると考えられるが、その詳細な報告はなされていない。一般的には、希土類イオンの大きさはAサイトイオンに近いため、希土類イオンはAサイトを置換することが多いことが報告がほとんどない主な原因であると思われる。しかし最近の研究で、AサイトだけではなくBサイトにも置換する希土類イオンと母体の組み合わせが存在することが、その蛍光スペクトルより明らかになりつつある。初年度の成果では、ペロブスカイト構造ではなくダブルペロブスカイト構造AA'BB'06を用いることで、AまたはBサイトを明確に区別し、作製したサンプルでその蛍光評価を行った。今年度は、単純なペロブスカイト構造酸化物でAまたはBサイトを区別する取り組みを行い、実際に希土類イオンの占有サイトをAまたはBサイトに区別できたサンプルを合成した。それらのサンプルに対して、X線回折測定や放射光施設におけるXANES測定を行い、希土類イオンがAまたはBサイトを区別して占有していることを実験から明らかにした。希土類イオンの占有サイトが明確にわかったペロブスカイト構造酸化物を用いて、それらのサンプルの蛍光特性を評価し、異なる形状を持つ蛍光スペクトルおよび励起スペクトルを得ることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単純なペロブスカイト構造酸化物でAまたはBサイトを区別する理想的なサンプルを合成でき、ひとつの母体で占有サイトの分離が可能になり、蛍光の評価結果が意味あるものになった。また、占有サイトの直接観察として行ったXANES測定も予測どおりの結果が得られ、意図した化学組成で作製したサンプルがおよそその組成どおりになっていることを確認できた。これらの結果をまとめて、学会発表を行うことができたため、おおむね順調に研究が進んでいるものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ダブルペロブスカイト構造・単純ペロブスカイト構造のいずれの構造でも、希土類イオンをAまたはBサイトに区別して添加することができ、それらの実験的な確認および蛍光の評価が一部のサンプルで可能になった。さらに、同様な実例となるサンプルを増やしながら、Tbイオンの占有サイトと発光の普遍的な関係を得られるように、解析を進めると共に結果をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末の残額が少額であったため、次年度の消耗品費としての使用を計画した。
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