2016 Fiscal Year Research-status Report
電極粒子の異方的磁場応答性を利用した超低温作動SOFC用高活性新規配向電極の創製
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16K06726
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 元秀 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (80222305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打越 哲郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他研究員 (90354216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 固体酸化物型燃料電池用電極 / 磁場配向 / 結晶磁気異方性 / カソード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、K2NiF4型Ni系層状化合物が示す異方的な磁場応答性に着眼し、組成制御が磁場応答性と導電性に及ぼす影響を検討しながら、磁場利用電極形成プロセスによって、燃料電池の酸素還元反応に対し高い電極反応活性を示す新規配向カソードの材料設計に取り組む。その取組みを通して得た知見を基に、500℃以下で作動可能な次世代普及型の超低温作動固体酸化物形燃料電池(Ultra-Low Temperature Operating Solid Oxide Fuel Cell:ULT-SOFC)の先進的開発を目指す。その研究目的の下、本年度は、磁場中での鋳込み成形プロセスによって種々の組成の粉末試料を用いて成形体作製を行い、得られた試料に対してX線回折ならびに微細構造観察を行うことによって、組成による磁場配向挙動の違いについて主に検討した。具体的に実施した研究内容と、得られた知見を以下に示す。 検討対象試料の組成をNd2-xLaxNiO4とし、それぞれの組成の単相試料粉末の作製を行った。得られた粉末を用いて検討を行った結果、xが0から1.5の組成ではc軸が磁場印加方向に沿って配列し、一方xが1.9の組成ではa軸あるいはb軸が磁場印加方向に沿って配列するといった磁場配向挙動を示すことを明らかにした。なお実験では、xが0の組成では5 Tの磁場を印加し、Laを導入した組成では8 Tの磁場が印加された。X線回折結果から、それぞれの試料における配向性をロットゲーリン因子fを用いて定量的に評価したところ、f = 0.75~0.99程度の高い値を得た。因みに、完全配向の場合f = 1となり、一方無配向状態の場合にはf = 0の値をなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究着手早々に震災があり、研究計画に遅延が生じたものの、共同研究者との連携により、研究計画はおおむね順調に進められていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた知見を受け、今後は以下の2つの検討項目を中心に、研究を実施する予定である。 (1)組成Nd2-xLaxNiO4において、xが0から1.5の組成ではなぜc軸配向性が、一方xが1.9の組成ではなぜa軸あるいはb軸配向性が発現するのか、その起源の解明 (2)配向化された試料の導電性評価 (3)電解質上に配向電極層を形成させるプロセス技術の確立と配向性の優位性の立証 (4)超低温作動固体酸化物形燃料電池(Ultra-Low Temperature Operating Solid Oxide Fuel Cell:ULT-SOFC)の試作
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Causes of Carryover |
研究計画立案では、初年度に卓上型冷間静水等方圧加圧機を購入する予定であったが、熊本地震の影響を受け、研究の一部が当初の計画通り実施することが困難な状況となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の状況の中で初年度に得た知見を基に、懸濁液調製条件を精査し、卓上型冷間静水等方圧加圧機の導入効果を見据えながら、配向体試料作製を進める予定である。
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