2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオガスを燃料とする固体酸化物形燃料電池の性能評価
Project/Area Number |
16K06729
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鮫島 宗一郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (00274861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 好洋 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80145458)
下之薗 太郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (80586610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / バイオガス / ドライリフォーミング / セリア |
Outline of Annual Research Achievements |
食物残渣や下水汚泥から生成するバイオガスは再生可能エネルギーとして注目されている。バイオガスの主成分はメタンおよび二酸化炭素である。バイオガスを固体酸化物形燃料電池に直接供給して、燃料ガスとして利用することを検討する。本実験では使用したバイオガスは、焼酎滓から生成した実バイオガス(メタン55.6%、二酸化炭素37.7%、窒素5.7%、酸素0.7%、硫化水素1.1%、水素<0.1%、一酸化炭素<0.1%、アンモニア<0.1%)である。このバイオガスに二酸化炭素を添加して、メタン:二酸化炭素=1:1のガスをアノードに供給した。発電用セルは燃料極支持型で、アノードはNi-GDC(ガドリニウム固溶セリア)、電解質はGDC、カソードはLa-Sr-Co-Fe-O系ペロブスカイト酸化物を使用した。800℃では最大出力密度は数mW/cm2と低く、実バイオガス中に含まれる酸素によりアノードのNiが酸化された可能性がある。発電後の出口ガスには数%の水素、一酸化炭素が検出され、水素/一酸化炭素はほぼ1であり、アノードでのドライリフォーミング反応が進行していることが分かった。 Ni-GDC/GDC/Ru-GDC多孔質電気化学セルを用いたドライリフォーミング反応について、パルス状電圧を印可して検討した。実バイオガス+二酸化炭素(メタン/二酸化炭素=1)系では、水素、二酸化炭素は生成するが、周波数1-100Hzでは生成速度は時間とともに低下した。これはメタンの熱分解により、セル中に炭素が析出したためである。実バイオガス+二酸化炭素+空気系では、反応時間24hの間、水素、一酸化炭素が生成した。これは空気中の酸素により析出した炭素が除去されたためである。このように炭素析出抑制には酸素の添加が有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオガスに二酸化炭素を添加して、メタン:二酸化炭素=1:1のガスをアノードに燃料ガスとして供給した。発電用セルは燃料極支持型で、アノードはNi-GDC(ガドリニウム固溶セリア)、電解質はGDC、カソードはLa-Sr-Co-Fe-O系ペロブスカイト酸化物を使用した。800℃では最大出力密度は数mW/cm2と低く、実バイオガス中に含まれる酸素によりアノードのNiが酸化された可能性がある。発電後の出口ガスには数%の水素、一酸化炭素が検出され、水素/一酸化炭素はほぼ1であり、アノードでのドライリフォーミング反応が進行していることが分かった。 Ni-GDC/GDC/Ru-GDC多孔質電気化学セルを用いたドライリフォーミング反応について、パルス状電圧を印可して検討した。実バイオガス+二酸化炭素(メタン/二酸化炭素=1)系では、水素、二酸化炭素は生成するが、周波数1-100Hzでは生成速度は時間とともに低下した。これはメタンの熱分解により、セル中に炭素が析出したためである。実バイオガス+二酸化炭素+空気系では、反応時間24hの間、水素、一酸化炭素が生成した。これは空気中の酸素により析出した炭素が除去されたためである。このように炭素析出抑制には酸素の添加が有効であることが分かった。 バイオガスを直接燃料とした発電実験では、バイオガス中の酸素がアノードのNiを酸化して発電性能を低下させる可能性が示唆された。一方、電気化学セルを用いた改質反応実験では、酸素添加により炭素析出が抑制され、安定的に改質が進行した。これらの結果に基づき、燃料中の酸素が発電性能および改質反応に及ぼす影響を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、焼酎滓のメタン発酵で生成する実際のバイオガスを直接、固体酸化物形燃料電池に導入してその発電性能を評価する。この結果を模擬バイオガスの結果と比較し、バイオガス中に含まれる窒素、酸素、水分および微量の硫化水素、アンモニア等の影響を明らかにする。発電中の出口ガスの分析、発電後のセルの解析から炭素析出状況を解析する。微量成分の影響および炭素析出の抑制の指針を示し、耐久性の向上を目指す。 ドライリフォーミング反応の解析により、バイオガスに酸素(空気)を添加することで、メタンの熱分解により析出した炭素を除去できることが分かった。また、酸素添加によりメタンの部分酸化反応が進行し、水素および一酸化炭素が生成することが分かった。さらに酸素は二酸化炭素よりメタンと優先的に反応していると考えられる。そこで、酸素の効果を検討するため、メタン-酸素系燃料による固体酸化物形燃料電池の発電実験を行う。メタン-酸素系混合比を変え、発電性能に及ぼす影響を調べる。この結果と以前検討したメタン-二酸化炭素系燃料の発電結果と比較する。これにより、バイオガス中の酸素の影響を明らかにすることができる。
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Research Products
(6 results)