2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical investigation on defect structure and ion dynamics in solid electrolytes
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16K06739
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
桑原 彰秀 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任研究員 (30378799)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / プロトン伝導体 / 拡散 / 点欠陥 / 固体イオニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトン伝導性セラミック燃料電池はその高い燃料利用効率、中温作動温度という利点から実用化が期待される次世代の固体酸化物燃料電池である。現在、主にBaZrO3をベースとしてYなどの希土類元素を添加した固体電解質材料の研究が行われているが、実用化においてはプロトン伝導率を現行より1桁程度向上させる必要がある。添加元素の高濃度領域では、添加元素とプロトン間に引力的な相互作用があることで、添加元素近傍に捕獲されて長距離拡散が阻害される会合状態にあると考えられている。会合状態をもたらす要因を解明し、適切に制御するための材料設計指針を確立することはPCFCの実用化において極めて有意義であると言える。 2018年度はBaZrO3の単位格子を2x2x2に拡張したスーパーセルに対して、Zrサイト置換Yを1原子(12.5mol%)とプロトン1原子、Zrサイト置換Yを2原子(25mol%)とプロトンを2原子導入したスーパーセルについて、対称性から独立と考えられる配置に関して網羅的な第一原理計算を実施し、ドーパントープロトンの2体相互作用と4体相互作用状態での配置とエネルギーの関係の違いを解析した。12.5mol%モデルでは会合エネルギーが約0.25 eVであるのに対して、25mol%モデルではYの配置によって変化し、会合エネルギーは0.17 ~ 0.38 eVとなった。プロトンの配置とエネルギーの関係において、ドーパント近傍でのBO6多面体のtiltingとプロトンと第2隣接酸素間の水素結合によるtiltingがカップリングすることでエネルギーが安定化し、逆にtiltingが競合すると不安定する傾向にあることが明らかとなった。ドーパント濃度の増大によって、会合エネルギーは単純に増加するのではなく、Yの配置に依存して変化しうることから熱処理等による固溶状態の制御も有効であると考えられる。
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