2017 Fiscal Year Research-status Report
環境エネルギーハーベスティングのための無機ナノプレート-有機複合熱電薄膜の創成
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16K06752
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高尻 雅之 東海大学, 工学部, 教授 (50631818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PEDOT薄膜 / 電解重合法 / ナノプレート / 電子線照射 / 熱処理 / フレキシブル熱電デバイス / カーボンナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では、PEDOT薄膜の高性能化(電子線照射など)、複合型電解重合膜の生成、フレキシブル熱電デバイスの設計を実施した。 まず、PEDOT薄膜の高性能化において、電子線照射と熱処理温度の最適化を実施した。電子線照射では、短時間の電子線照射(2.5分)では膜中の欠陥密度が低減し、熱電性能が向上することが判明した。しかし、長時間の電子線照射は膜中欠陥密度を増大させ、熱電性能が悪化させた。熱処理では、80℃から140℃の範囲で実施した結果、80℃の熱処理で最も性能が高く、それ以上の温度では、ゼーベック係数の低下による熱電性能の低下が観測された。なお、電子線照射と熱処理の研究成果はそれぞれ論文発表されている。 複合式電解重合法を用いたナノプレート/PEDOT熱電薄膜の作製について、p型とn型の両方について実験を行った。しかし、現時点で良好な複合膜は得られていない。この原因は電解液中でナノプレートが均質に分散できないためであると考えられる。平成30年度では、ホモジナイザーを使用することで分散性を高める予定である。その他の方法として、カーボンナノチューブ/PEDOTの2層薄膜を作製した。ITO基板上にカーボンナノチューブを塗布し、これを電極兼熱電材料として、PEDOT薄膜を電解重合法で成膜した。この結果、従来のPEDOT単体の電解重合膜の10倍以上の性能を持つものが得られた。 フレキシブル熱電デバイスの設計について、同様な設計をビスマステルル系めっき膜を用いて試作した。この方法はめっき法と転写法を組み合わせたものである。この研究で明らかになったことは転写時に薄膜にクラックができることによる電気抵抗の増加である。今後、デバイス性能を高めるためには、クラックを極力抑制する必要があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画した実施項目をおおむね達成できたと判断した。但し、n型の有機熱電膜の生成には成功していない。このため、n型ナノプレートとPEDOT(p型)を配分を変えて複合化することで、n型の複合膜を生成するように計画を変更する予定である。また、カーボンナノチューブとPEDOTの2層構造で高い熱電性能が得られることが判明した。平成30年度にはこれをフレキシブル熱電デバイスの作製に取り入れる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の現在までの進捗状況に記述したように、n型有機熱電薄膜の作製が困難であるため、n型ナノプレートとPEDOT(p型)を配分を変えて複合化することで、n型の複合膜を生成するように計画を変更する。また、カーボンナノチューブとPEDOTの2層構造で高い熱電性能が得られたことから、フレキシブル熱電デバイスの作製に取り入れる予定である。デバイス作製において、転写プロセスで膜中にマイクロクラックが発生することが分かっており、これを極力抑制する方法を検討し、実行に移す予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は消耗品の価格に変動があったためである。この費用は次年度の消耗品の購入に充当したいと計画している。
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Research Products
(22 results)