2016 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク形成能を有する耐熱性オリゴマーの創製とポリマーアロイの応用技術開発
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16K06760
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
古川 信之 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00413873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市瀬 英明 長崎県工業技術センター, 長崎県工業技術センター, 主任研究員 (00504432)
城野 祐生 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (80353233)
竹市 力 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), シニア研究員 (90126938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オリゴマー / ベンゾオキサジン / 重縮合 / 熱硬化 / フィルム / ネットワークポリマー / 耐熱性 / 可とう性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゾオキサジン(以下BXZ)は、加熱により架橋反応が進行し、ネットワーク構造を形成する新規熱硬化性樹脂であることが報告されている。またビスフェノール類、一級アミン類、およびホルムアルデヒドから合成され、開環重合性を示す。近年、様々な2官能性BXZが報告され、これらは従来のものと比較して、耐熱性および耐湿性に優れ、低硬化収縮性を示すことが報告されている。一方、ネットワーク形成後の特性として可撓性に劣ることおよび300℃付近で熱分解反応による揮発成分の生成等の課題も明らかとなっている。 本研究では可撓性を有し、フィルム化可能で耐熱性に優れたBXZ系樹脂として、ビスフェノール類、芳香族ジアミン類、およびホルムアルデヒドから芳香族高分子系ベンゾオキサジンを合成し、その構造解析および特性解析を行った。 pBXZの2次元NMR(hmqc)解析を行い、4.5ppm及び5.2ppmに観測される吸収ピークは、BXZ環由来のメチレン鎖に相当するものと推定された。これを基に求めた芳香族由来オリゴマー鎖へのpBXZ環導入率は20%、メチレン鎖導入率は33%であった。GPCより合成したpBXZの平均分子量(Mw)は2100であった。さらにDMA、DSC、TG/DTA等の熱分析により、未硬化のpBXZのガラス転移温度は106℃であり、熱硬化反応は約250℃で進行することが推定される。 また、ビスフェノール類のスペサーの異なる原料に用いたpBXZの合成を行い、これらのベンゾオキサジン環導入率、架橋反応性、硬化物特性についての検討を行った。スペサーの影響により、反応性は、異なるが、何れも平均分子量2,000~40,000で、ベンゾオキサジン環が形成されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリゴマー型ベンゾオキサジンの合成反応を検討し、50℃、5時間の反応条件下において、DMAC、CH3OH、クロロホルム、ジオキサンを用いた場合の得られた生成物(pBXZ)の平均分子量は、メタノールを用いた場合、最も大きくなる結果(>3,000)が得られた。これは、溶媒の自己酸触媒によりMannich反応が促進していると考えられる。これに対し、ジオキサンでは、最も平均分子量が小さく(~1,000)、Mannich反応の進行が遅くなる可能性が示唆された。また、オリゴマー中に導入されるベンゾオキサジン環の割合は、1HーNMRにより定量的に分析することが出来る。 本研究で用いた原料(2,2-ビス[4-アミノフェノキシフェニル]プロパン(0.05mol,BAPP)、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(0.05mol,BPA)、及びパラホルムアルデヒド(0.20mol, PFA))からのpBXZでは、30~70%であった。また、この未硬化pBXZの発熱ピークはDSC測定より、240~270℃であった。 さらに、得られた材料は、熱硬化反応前の状態では、ガラス転移温度は106℃であった。熱硬化反応は約250℃で進行することが推定され、硬化後のガラス転移温度は、~250℃に大きく上昇することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果を基に、以下の検討を進め、本研究による新材料の特性を系統的に明らかにする。 1.原料成分(ビスフェノール類、四環系ジアミン類)のスペーサー構造の違いと物性への影響を明らかにする。 2.イミド構造を有するpBXZを開発し、その特性を明らかにする。 3.代表的耐熱ポリマーであるポリイミドのうち、熱可塑性かつ有機溶剤可溶性のポリイミドを用い、PI/pBXZ系ポリマーアロイを開発し、その組成と物性の関係を明らかにする。 4.代表的熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂とのアロイ化を検討し、pBXZのエポキシ樹脂との反応性および生成するポリマーアロイの特性を明らかにする。 5.多官能五員環カーボネート系オリゴマーを成分とする新規ネットワークポリマーを開発する。
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Causes of Carryover |
原料費(四環系芳香族ジアミン、芳香族ビスフェノール)の購入、熱分析用部材の購入費が予定額より少なく、また、反応装置の購入を次年度以降に変更したため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、ベンゾオキサジン系オリゴマーについて、新規構造の材料開発、ポリイミド系ポリマーおよびエポキシ系樹脂とpBXZのアロイ化を検討予定であり、原料費が大幅に増額となる。また、反応装置の購入も予定している。 さらに、新規架橋反応性オリゴマーとして、多官能五員環カーボネート系の熱硬化性樹脂の開発を行う予定である。
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Research Products
(4 results)