2017 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブの高伸度化による複合材料力学特性の向上
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16K06764
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| Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
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Principal Investigator |
後藤 健 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ナノ材料 / 複合材料 / カーボンナノチューブ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブシートの熱処理による力学特性の変化について調査を実施した。Arガス雰囲気中で1800℃から2600℃まで熱処理条件を変化させた一方向配向ナノチューブシートをエポキシ樹脂シートと積層し、ホットプレスを行うことでCNT/エポキシ樹脂複合材料を作製した。まず、熱処理によるCNTシートの特性変動をラマン偏光観察により調査した。熱処理温度を上げると黒鉛の結晶性が増加していることが裏付けられ、熱処理によりCNTシートの黒鉛としての結晶化度が向上していることが確認できた。エポキシ樹脂との複合材料の力学特性を取得した。熱処理温度が向上するにつれ、複合材料の弾性率と引っ張り強度が大きくなった。しかし、当初の目論見であった引っ張り破断伸びは熱処理温度も向上とともに熱処理前の0.5%程度からやや低下し0.4%となった。高温延伸処理についてはトライしたもののシート状ではうまく力がかからず、保持方法の見直しをしているところである。
また、熱可塑性樹脂との複合材料化について、ポリビニルアルコールをマトリックス樹脂として使用した複合材料の作製に取り組んだ。試験に使用している一方向配向CNTは疎水性であり当初はうまく樹脂含浸することができず、CNT体積率を向上することができなかった。しかし、7.6%程度の体積率までであればエポキシ樹脂を使用したものと比較して弾性率も同等になり、破断ひずみは1%以上となった。次に作製プロセスを見直すことにより、さらに体積率を向上したものの作製に成功し、体積率が50%を超える複合材料を作製できた。しかし、力学特性は弾性率が出ておらず、破断ひずみは1%を超えたものの低強度となった。弾性率が発揮されなかった原因は現在調査中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した項目について、順調にすすめており、計画どおりに進行している。
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| Strategy for Future Research Activity |
（１）高温延伸処理によるCNT複合材料の特性改善
高温延伸処理を可能とする高温黒鉛治具を検討する。シート状の一方向配向ナノチューブシートに静的な荷重を負荷しながら高温での熱処理を実施する手法を検討する。
（２）熱可塑性樹脂サイズ剤の選定およびCNT/エポキシ複合材料の試作
ポリビニルアルコールとの複合化をさらに進める。昨年度までに明らかとなった、高体積率ではあるが、弾性率が全く発揮できない原因を調査し、その原因明確化することにより、CNTと樹脂の間での応力伝達について検討する。また、樹脂に含まれる親水基の割合を変化したものを用意することにより、CNTと樹脂の接着性を変化させることで、力学特性を向上する試みに着手する。
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