2017 Fiscal Year Research-status Report
ニッケルフリーステンレス鋼の高耐食化:リチウムイオン二次電池材料への展開
Project/Area Number |
16K06770
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
白仁田 沙代子 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (90580994)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エネルギー材料 / リチウムイオン二次電池 / 集電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
5 V級リチウムイオン二次電池に用いる正極の集電体材料として,高耐食性を有するNiフリーステンレス鋼の開発を進めてきている。これまで,Niフリーステンレス鋼に窒素熱処理を施すことで表面特性が変化し,固体高分子形燃料電池用のセパレータ材料として優れた耐食特性を有することを見出してきた。そこで,本研究課題ではこれまでの研究をさらに発展させ,大型化および高電圧化が求められてきているリチウムイオン二次電池の正極集電体の開発を行うことを目的として遂行している。 平成29年度は試料にNiフリーフェライト系ステンレス鋼を用い,窒素熱処理前後の試料において,昨年度導入および立ち上げしたグローブボックス内にて電気化学測定により耐食性の評価を行った。リチウムイオン二次電池用の正極の集電体材料としての評価を行うため,電解液には1 mol dm-3 LiPF6/EC:DMC(1:1 v/v%)を用いて,1-6 V vs. Li/Li+の電位範囲で,サイクリックボルタモグラム測定を行った。3サイクル目までは,特に3.5-5 V vs. Li/Li+付近にどちらの試料においても酸化電流が観測されたが,その後,30分間の電位掃引を行うと,窒素熱処理を行った試料の方が,窒素熱処理前の試料に比べて,1-5.5 V vs. Li/Li+の電位領域において酸化および還元電流が小さく,非常に高い耐食性を有していることがわかった。 以上のように,本研究課題の遂行により,窒素熱処理における耐食性の向上が有機溶媒中においても確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的達成の前提となる有機溶媒中における耐食性試験の結果,未処理品よりも高い耐食性を有していることが見出された。より高耐食性を有する窒素熱処理条件の検討も昨年度導入したIRイメージ炉においても進めており,研究実施計画に従っておおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は研究実施計画に沿い,窒素熱処理によって形成されているCr-N層をスパッタリング法によっても作製し,耐食性向上のメカニズムについても解析を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 耐食性の向上メカニズムの検討のためには、結晶構造解析よりも不働態被膜に注目した実験の方が有効な手段である可能性が出てきたため。 (使用計画) 不働態被膜に関する実験を行うために必要なインピーダンス測定はグローブボックス内での計測が困難であり、この測定を行うための環境を整備する。
|