2016 Fiscal Year Research-status Report
超軽量高強度LPSO相強化Mg-Zn-Y合金の疲労特性と破壊機構の解明
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16K06775
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
陳 強 九州大学, 工学研究院, 教授 (30264451)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 疲労 / 微小き裂 / LPSO / 超高サイクル / 破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mg-Zn-Y合金はアルファMg 母相とそのセル界面にラメラ状に晶出した長周期積層構造LPSO(Long-Period Stacking Ordered) 相からなる二相Mg合金であり、高強度と高延性を併せ持ち、耐熱性や耐食性、不燃性にも優れているため、自動車や航空機産業への実用化が期待されている。LPSO相強化Mg合金は鋳造した状態では平凡な機械的特性しか示さないが,塑性加工によってその機械的特性が著しく向上する。その要因として、LPSO 相が双晶変形を起こさず、比較的に高い応力下でキンク変形を生じる、所謂キンクバンド強化という極めて特異な挙動を示すためと言われている。しかしながら、繰り返し変形における本合金の疲労強度特に超高サイクル疲労における本合金の疲労特性および破壊メカニズムについては、ほとんど未知である。本研究では、超音波疲労試験技術を利用して、この新奇なLPSO相を強化相とするMg-Zn-Y合金の超高サイクル疲労における強度発見機構の解明を目的としている。平成28年度においては、LPSO相がキンク変形無しの Mg97Zn1Y2鋳造材とキンク変形有りのMg97Zn1Y2押出材をそれぞれ用意し、本研究室で開発した超音波疲労試験機を用いることで、試験片のサイズなどに制限されることなく、室温(298K)下で超音波疲労試験を行うことに成功した。具体的には、(1)ギガサイクルにおける疲労強度特に10^9サイクルまでの疲労強度、表面連続観察による微小き裂発生および伝ぱ挙動、走査型電子顕微鏡による疲労破壊解析と、(2)LPSO 相の体積分率が異なる2種類のMg-Zn-Y合金、アルファ-Mg 単相合金 と LPSO 単相合金を対象に超音波疲労試験を行い、LPSO相強化Mg合金の疲労特性における各構成相の役割について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に目標としていた2つの研究計画について、すべて順調に実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以後においては、前年度の研究内容を継続しながら、SEM内マイクロ疲労試験を行い、疲労挙動のその場観察を行う。また、SEM/TEM観察およびEBSD結晶方位解析を行い、微小き裂発生および初期伝ぱに及ぼす微視的組織特に双晶やキンク変形の影響について調査する。さらに、LPSO相キンク変形の離散転位動力学による解析を行い、疲労破壊機構の全貌およびLPSO相の役割を明確にする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた「電磁力式疲労試験機マイクロサーボ MMT-11NV-2、島津製作所製、MMT-250NV-10(一式)」の購入に係る物品費(約250万円)は、当該設備と同等な疲労試験機は学内共同研究者より借用することができたので、当該設備の購入を中止し、次年度へ繰り越すことになったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述のように、疲労試験機の購入中止により繰り越された物品費の大半は現行超音波疲労試験機の維持修理と、マイクロ材料疲労試験機の改造、走査型電子顕微鏡SEM内その場引張観察装置の開発に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)