2016 Fiscal Year Research-status Report
Mg2Si/CNT複合ナノファイバーによるn型フレキシブル熱電変換素子の開発
Project/Area Number |
16K06790
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 圭子 東北大学, 工学研究科, 助教 (80361137)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱電変換材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)の表面をシリサイド系熱電変換材料でコーティングした複合ナノファイバーを作成し,400℃まで使用可能なまでn型フレキシブル熱電変換素子を開発することが本研究課題の目的である.本年度は薄膜化に適したマグネシウムシリサイド/CNT複合ナノファイバーを得るために,マグネシウムシリサイドコーティングの高性能化と析出形態制御プロセスの開発を行った. 従来のプロセスで作製された複合ナノファイバーでは,マグネシウムシリサイドコーティング中に不純物である酸化マグネシウムのナノ結晶が分散しており,この酸化マグネシウムが電子伝導を阻害するために導電率が低下し,無次元性能指数が低減していると考えられる.したがってナノファイバー高性能化のためには酸化マグネシウムを低減させる必要がある.本研究ではまず酸化マグネシウムが生成される原因を調査し,その結果,プロセス中に中間生成物として得られるシリコンナノ粒子の表面酸化によって生成されたシリカ,またはシリコンナノ粒子中に残存した未還元のシリカが,マグネシウムと酸化還元反応することにより,不純物である酸化マグネシウムが生成されていることを明らかにした.次に,酸化マグネシウムを低減させるためにフッ化水素酸によるシリカの除去,また,シリコンへと還元する前のシリカ層の厚さを低減することによる還元の促進を試みた.これらにより不純物である酸化マグネシウムを完全に除去することはできなかったものの,シリカ層の厚さを変えることによりマグネシウムシリサイドコーティングの析出形状を,厚い層状の単結晶からブロック状へと変化させられることがわかった.したがって,コーティング中にまだ不純物は残存しているものの,析出形態制御のためのプロセスを開発することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は薄膜化に適したマグネシウムシリサイド/CNT複合ナノファイバーを得るために,マグネシウムシリサイドコーティングの高性能化と析出形態制御プロセスの開発を行う計画であったが,析出形態制御プロセスは開発できたものの,不純物低減による高性能化までには至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
CNT上でシリカをシリコンへ還元するプロセスを見直し,還元条件だけでなく装置の改良も行うことにより,コーティングの高性能化を図る.
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて科研費を執行したため,当初の見込み額と執行額が異なってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
達成度についてやや遅れてはいるものの,研究計画に大きな変更はなく,前年度の研究費も含め当初予定通りの計画を進めていく.
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