2016 Fiscal Year Research-status Report
歪エネルギー駆動による超微細Cu配線の結晶粒粗大化プロセス開発
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16K06793
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
篠嶋 妥 茨城大学, 工学部, 教授 (80187137)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超微細Cu配線 / 不純物のピン止め効果 / シミュレーション / フェーズフィールド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
線幅30nm以下の超微細Cu配線の信頼性を向上させることは、ULSIの性能向上に必須の課題となっている。そのためにはCu配線の抵抗率を下げ、かつエレクトロマイグレーション耐性を上げることが必要であり、それはCu配線を構成するCu多結晶粒を一様に粗大化することで実現できる。ところが、LSI中の極微細配線という制限のために、そのプロセス開発は未だに成功していない。最近、茨城大の大貫らにより、Cu配線のめっきプロセスにおける電解液・アノード純度を上げ、かつ添加剤の量を極小化することにより、大幅な粒径向上が実現された。これは銅極細配線における粒成長を阻害する不純物のピン止め効果がきわめて重要であることを示している。本研究は、この不純物効果を再現するため、フェーズフィールド法による計算機実験を行った。 Kobayashi-Warrenらのフェーズフィールドφ と結晶方位場θ を用いた多結晶体に対するモデルを使用した。系は 縦150 nm x 横1200 nm の2次元とした。初期配置として、アニール前の平均粒径が実験値40 nm になるように、ボロノイ分割で粒子の区画を分け、区画ごとに粒子の方位θを乱数で割り振る。フェーズフィールのパラメーターφは、粒界0、粒内1とする。「粒界」と決めた区画に対して、乱数を振って、ある割合で「ピン止めする区画」を決める。この割合を impurity xx% と表わす。「ピン止めする区画」については、フェーズフィールド(結晶度)φの時間変化がないものとする。 計算の結果、不純物のピン止め効果により粒成長の阻害が見られた。実際に作成した極細銅配線のTEM断面観察と比較すると、Impurity 25 %の結果は従来プロセスの断面観察結果、Impurity 5 %の結果は電解液を高純度化し、添加剤を通常の10分の1まで減らした試料の断面観察結果と符合した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェーズフィールド法によるシミュレーションを用いて、銅極細配線における粒成長を阻害する不純物のピン止め効果を再現できた。これは、Cu配線のめっきプロセスにおける電解液・アノード純度を上げ、かつ添加剤の量を極小化することにより、大幅な粒径向上が実現された茨城大の大貫らの実験結果を合理的に説明できるモデルを構築できたことを意味する。さらに、初期粒径の微細化のアニール後の最終粒径に及ぼす効果や、アニールプロセスの最適化などについて、詳細な計算機実験を遂行できるようになり、Cu粒径のさらなる粗大化に道を開いた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したシミュレーションプログラムを用いて、初期粒径の微細化のアニール後の最終粒径に及ぼす効果や、アニールプロセスの最適化などについて、詳細な計算機実験を行い、Cu粒径のさらなる粗大化のためのプロセス開発を目指す。また、前年度に構築したモデルに一様な歪エネルギーの寄与をモデル化して組み込み、粒成長の計算機実験を行う。現モデルの自由エネルギーFは、フェーズフィールドφと方位場θの汎関数としてあらわされている。これに、一様性を仮定した歪エネルギーを加える。歪エネルギー効果を取り入れることによって、配線側壁近傍の粒成長を促進し、配線内での一様な結晶粒粗大化が達成できる。例えば、配線幅60 nm中の銅の結晶粒をみると、側壁から約20nmの範囲では、側壁との強い相互作用のために、結晶粒が非常に細かくなっており、これが電気抵抗率の上昇とEM耐性の低下をもたらす。ところがこの側壁近傍の領域は微細結晶からなる、歪エネルギーの高い領域でもある。そこでRTA法や周期アニール法などの新しい熱処理法を活用すれば、この高い歪エネルギーを解放して結晶成長の駆動力に変えることができる。この新熱処理法を開発すれば、側壁のごく近傍2 nm程度を除いた18 nmの範囲において、通常の熱処理法では微細のままとどまる結晶粒を粗大化することが可能となる。
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Causes of Carryover |
購入したハードディスクが予定より安い価格だったため、若干の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ保存のためのストレージを購入する。
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