2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06794
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
谷 貴幸 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (80279554)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放電加工 / 細線電極 / 金属造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,細線に対して任意の2か所に限定した放電を同時に発生させることによって,溶融した細線成分を順次金属基板に堆積させることによる金属造形法の開発を目的としている。装置は,2つの極間間隙を持つ構造となる。すなわち,電極と細線および細線と基板との間に微小な間隙を設け,この極間間隙をアクチュエータによって制御し,両間隙に同時に放電を発生させる。これによって,溶融した材料を基板へと移行させ,これを繰り返すことによって,金属材料を任意の形状に造形する。 今年度は,プロトタイプとしての装置の構築が終了し,基礎的な実験を実施している。細線の溶融状態は,構成した装置の電極極性に大きく依存することが明らかとなった。放電によって溶融した材料は,基板側へと移行することも確認できたが,移行しない場合も確認できたため,今後はミスト気流のアシスト等を機能として加える予定である。また,細線が溶融する形態は,材質や細線の直径によって異なることも確認しており,今後は任意のパルス列を入力するなどの放電電源の制御を含めた検討も合わせて実施する。 溶融細線による造形法に加え,薄肉パイプの消耗を利用する方法も同時に実施している。薄肉パイプを高速に回転させることによって,放電柱を滑らせて基板側への熱の入力を押させ,消耗した材料を堆積させることを狙いとした方法である。材料の組み合わせによって放電の滑り現象が異なることを確認しており,今後も単発放電現象を中心にその現象の把握を進め,これを堆積加工に応用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究によって構築してきた放電回路,極間制御がそのまま使用できる研究テーマであるため,機械要素および制御関係において大きな問題が生じていない。材料の溶融が,放電電流のジュール発熱による線爆も関係しているために爆発後の制御が課題となっているが,溶融状態に達することが確認されているため,これを基板に移行させることは可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
溶融領域を制御するために,2か所の極間の距離を任意に設定できるようにする必要があるが,この距離を小さくする場合に装置の干渉の問題が生じている。また,細線の連続的な繰り出し機構を追加する必要がある。これらの機能を追加する形で現行の装置の改良を進め,安定な堆積加工の実現を目指す。これに加え,投入する電極と溶融させる細線との関係を明らかとし,これをデータベースとして構築し,材料毎の放電電源の最適化を図る。これらの基礎実験に加えて,基板側のステージ制御の検討も行い,任意形状の金属造形物の創成を試みる。
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Causes of Carryover |
初年度は,従来までの研究に用いた装置を分解して,基礎実験用の装置を構成した。構成した装置による基礎実験の結果から,新しく購入する比較的大型の電源および高精度アクチュエータのスペックを決定する予定であったが,細線の溶融状態が十分に把握できなかったため,装置の購入には至っていない。周辺の装置もこの装置のスペックに関係するため,物品費を使用していない状態となっている。ただし,基礎実験用の装置により研究は進めており,実験に関連する消耗品は別途採択された学内予算を充てている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基礎となるデータを取得後に,金属造形に最適な装置のスペックを決定し,その装置を購入する予定である。周辺の装置もこれに付随して購入し,装置の全体的な改良と伴に,金属造形の精度の向上を図る。
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Research Products
(4 results)