2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K06796
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
櫻田 修 岐阜大学, 工学部, 教授 (10235228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 道之 岐阜大学, 工学部, 助教 (70431989)
尾畑 成造 岐阜県セラミックス研究所, 研究開発部, 専門研究員 (80733667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 立体造形 / 炭化ケイ素 / スラリー / 焼結助剤 / 構造材料 / 紫外線硬化 / インクジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
構造用セラミックスは焼成用窯道具のほかセラミックスバーナーやメカニカルシールなどに用いられ、強度に加えて要求される形状・サイズに対応しなければならない。しかし、セラミックスは焼成による収縮に加え、成形時に変形することからニアネット成形が困難であった。そのため、製品に合わせた複雑な窯道具の作製をしなければならないというニーズに対応できていない。近年、立体造形に関する技術が進歩し、樹脂による立体物などの作製が実用化されている。一方、炭化ケイ素は、焼結助剤として炭素、炭化ホウ素などの添加が必要不可欠である。 耐火材では、アルミナファイバーやカーボンファイバーなどといった断熱効果に優れる断熱材への変更が検討され、窯道具については緻密化・薄肉化が検討されている。しかし、窯道具の形状は焼成物の形状やサイズに依存するために、製品に合わせた複雑な窯道具の作製をしなければならないというニーズに対応できていない。近年3D 造形技術が脚光を浴びるようになり、この技術を用いて立体成形できれば、(a)小ロットでのセラミックス製品は直接成形による製品化、(b)ある程度ロットが大きいものであれば立体造形物を製品の原型モデルとして使用できると考えられる。本研究ではインクジェット方式の立体造形法をその候補と位置づけ、インクジェットヘッドから吐出された紫外線硬化樹脂を含有したスラリーを紫外線照射によって硬化することによって型を用いずに成形体を得ることを検討する。 平成28年度は、構造セラミックスの一つである炭化ケイ素をインクジェット方式で立体造形を達成するために炭化ケイ素と焼結助剤を混合した紫外線硬化樹脂スラリーの調製方法を検討して、その紫外線照射固化挙動の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、構造セラミックスの一つである炭化ケイ素をインクジェット方式で立体造形を達成するために炭化ケイ素と焼結助剤を混合した紫外線硬化樹脂スラリーの調製方法を検討して、その紫外線照射固化挙動の検討を行った。 インクジェット方式で吐出するため、これまでの研究結果からスラリー粘度は40 mPa・s 以下、表面張力を70~80 mN/m以下にする必要がある。これら条件を達成するため、下記に示す研究要素を評価し、各要素と粘度表面張力の相関を調べ、紫外線硬化樹脂を用いて20 vol%以上の焼結助剤を含む炭化ケイ素スラリーの調製法を検討した。 インクジェット噴霧用焼結助剤を含む炭化ケイ素混合スラリーの調製(岐阜大・櫻田、大学院博士前期課程学生):これまで我々が行ってきた炭化ケイ素の鋳込み成形法で確立したスラリー調製技術をもとに、分散媒となる非水系紫外線硬化樹脂の溶媒に種々の分散剤の添加を検討した結果、インクジェット噴霧に適した炭化ケイ素、焼結助剤から成る混合スラリーを調製することができた。さらに、スラリー粘度・炭化ケイ素粒子の表面電荷・粉体濃度の最適化(岐阜大・櫻田、吉田、大学院博士前期課程の学生、岐阜県セラミックス研究所・尾畑)により、紫外線硬化樹脂中に分散安定化した炭化ケイ素をうまく紫外線照射固化することができた。 その成果の一部は、平成28年9月に開催された日本セラミックス協会第29回秋季シンポジウム(広島大学)ならびに、平成28年9月に開催された「第54回粉体に関する討論会(登別グランドホテル)で発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
3D プリント吐出条件の確立: 成形密度、焼成密度の目標を達成させるため、吐出条件について検討を行い、インクジェット噴霧試験から、スラリー調製にフィードバックする。 ① スラリー濃度の検討(岐阜県セラミックス研究所・尾畑):成形密度を向上するにはスラリー濃度を高くする必要がある。スラリー濃度と粘度を考慮して、吐出性と積層量の関係を評価し、スラリー調製にフィードバックする。 ② 固化条件の検討(岐阜大学・櫻田、吉田、大学院博士前期課程学生):紫外線硬化樹脂の調合として、モノマー、重合開始剤の選定・最適添加量の抽出に加えて、粘度調整及び固化を促進させるためのダイマーやオリゴマーの添加を検討する。これらの割合を検討し、固化速度、成形時の歪みなどを評価、検討して成形密度の向上を目指す。 焼結助剤を含むインクジェット噴霧用炭化ケイ素複合粒子の作製(岐阜大・櫻田、吉田、大学院博士前期課程学生): インクジェット噴霧に適した焼結助剤を含む炭化ケイ素複合粒子を次のような方法で作製する方法を検討する。一つは粒子同士の表面電荷をスラリーのpH、界面活性剤を添加して制御したヘテロ凝集法を用いた炭化ケイ素粒子の表面に焼結助剤となる粒子をコーティングする方法。もう一つはバインダーなどを用いて炭化ケイ素の表面に焼結助剤をコーティングした複合粒子の調製法についても検討する。 以上の検討結果をもとに、インクジェット噴霧装置を用いて成形体を作製する。得られた成形体を用いて、スラリー調製にフィードバックする。研究成果をまとめる(岐阜大学・櫻田、吉田、岐阜県セラミックス研究所・尾畑)。
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Research Products
(2 results)