2018 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of high toughness boron carbon nitride coatings by selective ion extraction in HiPIMS plasma discharge
Project/Area Number |
16K06801
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 徹英 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (70614543)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | HiPIMS / 炭化ホウ素 / 基板パルスバイアス電圧 / 遅延印加時間 / イオン種 / パルス幅 / ピーク電流密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
全体の研究目標に対し,最終年度はBCN膜を構成する各抽出イオン種のはたらきとBCN膜特性との関連性の検証を主目的として、①第2年度に残されたB4Cターゲットを用いた各種パルス条件でのイオンフラックス特性の検証と②それらに基づいた基板パルスバイアス電圧の遅延印加による成膜実験及び膜分析評価、の2点について研究を遂行した. ①では,初年度・第2年度における検証を踏まえ,これまで限られていたHiPIMS放電条件をさらに拡大し,パルス幅,ピーク電流密度等の影響因子に着目し,B+,C+, N+フラックスおよびエネルギー分布特性について検証した.その結果,パルス幅の極小化,ピーク電流密度の増大に伴う, B+およびC+における高エネルギー粒子の増大傾向を見出した.特にパルス幅20μsかつ電流密度1A/cm2以上の条件において,20eV以上の高エネルギー粒子が顕著に増大することを明らかにした. ②では,①に基づいた基板パルスバイアス電圧の遅延印加による成膜実験を試みた.また形成したBCN膜の膜組成・結合状態および機械的特性を評価した.その結果,N+フラックスが低下する時間領域以降での基板パルスバイアス電圧の遅延印加により,膜中の窒素含有率の急激な低下およびそれに伴う膜硬度・ヤング率の上昇が確認された.これらはh-BN由来の結合種の減少およびB-C結合種の増大に起因するものと考えられる.その他基板パルスバイアス電圧値の増大に伴う膜の高硬度化も確認された.最終的に基板パルスバイアスの遅延印加により,膜硬度約20GPa,ヤング率約200GPaの高靭性な薄膜形成が達成された. 以上より,基板パルスバイアスの遅延印加によるイオン抽出の妥当性とその各種イオンフラックス・運動エネルギー制御の実現可能性が示され,それらがBCN膜形成に及ぼす影響が示された.
|
Research Products
(17 results)