2017 Fiscal Year Research-status Report
骨再生治療に適用するマグネシウム基複合材料の創製とその超塑性マイクロ加工
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16K06809
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (90416339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 亨 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (90416347)
池尾 直子 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80647644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マグネシウム基複合材料 / 骨再生治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
怪我や病気で骨に大きな欠損を負った場合、骨再生治療が必要となる。本研究ではまず、この骨再生治療で用いられる骨補填材の素材としての利用を想定した生体吸収性セラミックを分散したマグネシウム合金基複合材料の作製から着手する。今年度はリン酸三カルシウムが分散したマグネシウム合金基複合材料を、マグネシウム合金粉末とリン酸三カルシウム粉末をスタート材として、これらの混合粉末を押出し加工によって固化することで得た。初年度に検討したマグネシウム粉末は不純物鉄の含有率が高かったことが判明し、この点を克服したマグネシウム粉末を用いた。マグネシウム合金としてはカルシウムを添加した合金を選択した。混合粉末を適切な条件下で押出し加工することにより、マクロ的な欠陥のない複合材料を得ることができた。計画どおりに、得られた複合材料の組織・物性評価や二次加工性評価を行った。得られた複合材料に関してX線回折によって結晶相の評価を行ったところ、マグネシウム相とリン酸三カルシウム相のみから構成されることがわかった。このことから複合材料の作製過程で化学変化が起こっていなかったことが示された。室温における引張耐力と圧縮耐力はいずれも300 MPaを超え、しかもマグネシウム合金の押出し材でしばしば発生する引張耐力と圧縮耐力の大きな違い(非対称性)もほとんどなかった。高温での圧縮試験によってこの複合材料の二次加工性を評価したところ、変形応力は高いひずみ速度感受性指数を示し、良好な加工性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、概ね計画どおりに生体セラミック分散複合材料を作製する技術的な知見が得られ、さらに原料となるマグネシウム粉末の不純物含有率評価まで行うことができた。今年度は、初年度の知見を元に、ほぼ計画どおりにリン酸三カルシウムが分散したマグネシウム合金基複合材料を作製し、得られた複合材料の組織・物性評価や二次加工性評価を行うことができた。このため概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初期の計画どおり良好な加工性を期待できる複合材料が作製できたため、この複合材料を被加工材としてマイクロ加工を試みる。得られたマイクロ加工品の表面品質や内部組織を評価して、骨補填材の素材として適用できうるか検討を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 原料の準備のための費用を抑制することができたため。 (使用計画) 成果発表のための旅費や論文投稿費用として有効に使用する計画である。
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